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2006年4月1日

議事報告

第5回「(仮称)仙台二高共学化調整会議」議事録

1.開催日時
平成17年10月3日(月)18時~20時
2.開催場所
仙台二高同窓会北陵館
3.出席者(敬称略)
《宮城県議会議員》
前文教警察委員会委員長/安部孝(司会兼立会人)
《宮城県教育庁関係者》(文中では「県教委」)
教育長/白石晃
教育次長
鈴木隆一、矢吹隆志
高校教育課長
黒川利司
同課長補佐
浜田毅
改革推進班長/中川昭三(進行役)
同主幹
狩野宏史
高橋真由美
《宮城県仙台第二高等学校関係者》
(文中では「二高」)
校長/柏葉浩明
教頭/渡辺尚人
副参事兼事務室長/平川弘二
《宮城県仙台第二高等学校PTA関係者》
(文中では「親の会」)
会長/鈴木密明
副会長/内田正之
会員/高濱まなみ、吉村瞳
《宮城県仙台第二高等学校同窓会》
(文中では「同窓会」)
副会長/高橋正道
会員/柴田克彦、朝倉亮、山下健二、佐藤茂

〈安部孝〉
今日は第5回目の調整会議だが、いつものルールに従い、今回も全面公開ということなので、傍聴人それからマスコミ関係の方々は円滑な議事進行が図られるようご協力をお願いしたい。
今日の会場は、こちら(仙台二高同窓会北陵館)に替わって初めてのケースだが、いつものとおり、拍手とか野次とか、そういったものは控えて頂きながら、場所もちょっと聞こえにくいかも知れないし、マイクもないので、皆さんに聞こえるような形で明解な議事運営にして頂きたい。
今日は傍聴人の数も制限させて頂いているのでご理解頂きたい。また熱心な議論を展開して頂いて、理解が進むことをお祈りしたい。
議事の第1番だが、皆さんのお手元に配布になっている「第4回調整会議」の議事録についてはよろしいか?若干の説明があるか?

〈県教委・同窓会・PTA〉
特にない。

〈安部孝〉
それでは議事の第2点目に入る。今日は柏葉校長先生もおいで頂いており、仙台二高の共学化の基本的な考え方について、10分から20分以内ということなので、まずこの説明を頂き、そのあと質疑ということになるかと思う。
では最初に校長先生の方からよろしくお願いしたい。

〈柏葉浩明〉
今日は5回目ということで、これまで4回の調整会議があったわけだが、学校内でこれまでどのような経過を経て検討されてきたのか、またその検討内容がどのようなものかということ、さらに今後どのような学校を目指しているのかということについて、これまで説明の機会があまりなかったので、前回の会議の最後のところで、1つまとまった時間を頂戴したいということでお願いした。今回このような形で時間を頂いたことを大変有り難く思っている。20分程度の時間を頂くことになるかと思うがよろしくお願いしたい。
まず前半ではこれまで校内での検討結果について、特にこれまで何回か話題になった中期総合ビジョンがどのような経過を経て作成されてきたのかということについて説明させて頂く。
また、後半の部分ではこれからどのような学校を目指して行くのかということについて、その基本的な考え方をお話しさせて頂きたい。
従って、特に前半の部分についてはこれまでの会議の中でお話ししたことと一部重複するところがあるかも知れないが、一連の流れを確認させて頂くということでご了承頂きたい。
それでは初めに仙台二高の中期総合ビジョン策定までの経緯についてご説明申し上げたい。
中期総合ビジョンはこれまでの話の中でも断片的には説明しているが、はじめから男女共学を前提にして作業を開始したものではない。創立100周年後の仙台二高の将来を見据えて、仙台二高の伝統を継承し、さらに発展させていくために今後どうすればよいのかということを基本的な視点として、課題の抽出あるいは解決のための方策等について検討を進め、最終的にビジョンとしてまとめ上げたものである。
その経過は次の通りである。
まず平成10年10月、創立100周年の2年前、校内に「21世紀のビジョン作成委員会」という組織を立ち上げた。委員は平成10年度、5名、翌11年度には6名の教員のみで構成された。
この委員会の目的は、創立100周年以降の21世紀における今後のあり方について、さまざまな可能性を吟味・検討、そしてビジョンを作成するというものである。具体的な内容としては、進学率の向上、男女共学、学科の新設、単位制あるいは中・高連携、高・大連携といった、いわゆる現状にとらわれず、広い視点から未来の二高の教育を研究し、そして提言して行こうということでスタートした。
1年目の平成10年は7回開催されたが、2年目の平成11年度は2回のみの開催で、結果としては自由に問題を出し合うことに止まり、具体的なビジョン策定までは至らなかったというのが実情であった。
ただ、このとき委員会内で話題になった大学との連携について、委員の案がまとめられ、その後それに関する研究発表等が契機になって、現在の本校のみならず県全体でのいわゆる高・大連携という形で大きな成果を見せている。
その後、平成12年度、創立100周年記念事業が終わったことを契機にして、平成13年1月、その後の二高を考えるということで、教員以外の13名の委員で構成される「21世紀の仙台二高を考える会」という組織が発足した。
この中には、高橋副会長も入っておられたのでよくご存知だと思うが、1月から3月にかけて何回か会合がもたれ、3月22日付けで「21世紀の仙台二高への期待」というタイトルで各委員の意見がまとめられている。
この中で13名の委員の内、7名の委員が男女共学の問題に触れており、この7名の内5名が共学に積極的な意見を述べておられた。
これとほぼ同時期の平成13年3月、「県立高校将来構想」が策定・公表された。この将来構想で全ての県立高校の共学化が示されたが、それを受けて年度が改まった4月、県教育委員会から男女別学校に対して共学後の特色づくりの検討及び共学に伴う各校の課題等について整理・検討するようにとの指示を頂いた。
学校としてはこのような状況の変化を踏まえ、またそれまでの「ビジョン作成委員会」や「21世紀の仙台二高を考える会」等から出された意見を踏まえながら、平成12年12月に、「仙台二高ビジョン委員会」というものを新たに立ち上げ、21世紀の仙台二高を考えて行く作業の中に、男女共学の問題を含めて検討することにしたわけである。以降、8回の委員会を開催し、校内の課題を抽出し、検討を加え議論を進め、その後の校内での議論の内容を職員会議を経てまとめたものが中期総合ビジョンである。
もちろん、このビジョンの策定、そしてこれを提出する段階で共学化の開始年度が示されていたわけではない。従ってこの中には共学化に対する基本的な姿勢ということは示されているが、同時に共学化に伴ういろんな検討課題等も多く掲げられている。これはあくまで校内での検討のまとめということで、その後、二高の共学化の日程が示されるなど具体的な課題になったときに、あらためてPTAあるいは同窓会の方々にその経緯をご説明申し上げ、このビジョンなどもお示ししながらご意見を頂く、そのような性格のものとして策定されたのがこの中期ビジョンである。
「ほかの学校が遅れているのになぜ二高だけ?」というような疑問も出されたわけだが、これについては前にもお話ししたとおり、共学化の方向性、これが将来構想の中にはっきり示されたということ、それから本校としても将来避けて通れない問題だろうと捉えて積極的・主体的に、他校の動きを見るということではなくて検討を進めたという判断があったからだと思っている。
以上が策定までの経緯であるが、この中期総合ビジョンの中でまとめられた共学化に対する基本的な考え方については、第1回目の会議でも若干の説明をさせて頂いているので、要点だけを申し上げたい。
1.よりよい二高を創造していくという学校としての主体的な取り組みの中で、共学化を考えること。
2.進学達成率の向上など、県全体の教育向上の先導役を担えるような共学化を目指していくこと。
3.部活動・学校行事などについては、柔軟な発想を持って弾力的に考え、実施して行くこと。
ということだ。

〈佐藤茂〉
どの資料に基づいて仰っておられるのか?

〈柏葉浩明〉
中期総合ビジョンの中で…、

〈佐藤茂〉
中期総合ビジョンはここでお配りになっているのか?

〈柏葉浩明〉
配ってはいないけれども…、

〈佐藤茂〉
聞いている人が分かるのか?概要版か何かを配るべきじゃないか。

〈柏葉浩明〉
概要ということでお話申し上げているのだが…、

〈安部孝〉
資料は用意していないのか?

〈柏葉浩明〉
資料は用意していない。

〈安部孝〉
それではあまり細かいところまで入ってしまうと、聞き取りも難しいので、その辺も考慮して…、

〈柏葉浩明〉
はい。

〈朝倉亮〉
一番大事なことを資料なしに話そうとしているが、これは調整会議なのだから、大事な資料は出してもらわないと議論にならない。話合いにはならない。これは簡単には受けられない。

〈佐藤茂〉
準備不足じゃないか、校長!

〈朝倉亮〉
準備不足どころか問題の回避だ。

〈柏葉浩明〉
この要点については1回目の時に説明させて頂いているので、要点だけということで説明させて頂きたいのだが…、

〈安部孝〉
今日は資料がないので、その辺を加味しながら口頭で分かるように明解に説明するように…。
ここで安部孝氏が、仙台二高側が配布した《仙台二高の目指す学校像及び求められる生徒像》(案)という資料を指してところでこのペーパーは何か?それは皆さんに渡っているのか?

〈柏葉浩明〉
それは後の部分で使わせて頂きたいと思っているので…。

〈安部孝〉
それではうまくつなげるようにして…、はい、どうぞ。

〈柏葉浩明〉
基本的には、「共学化ありき」という方向ではなく、主体的な学校という中で共学化を考えて行こうということである。そして、これまでの旧制二中、(新制)二高の歴史・伝統については発展させていくということを基本に考えている。
以上が経過とその基本的な概要であるが、平成15年7月に本校の共学化開始時期が発表になったが、それを受けて学校としては、今申し上げた4点を踏まえてどのような学校を目指すかということで、学校像について検討を進めてきた。次にその内容について説明させて頂きたい。
お手元に、《仙台二高の目指す学校像及び求められる生徒像》(案)があるかと思うが、その資料にあるように、今後、本校の目指す学校像を一言で申し上げれば、「全国屈指の進学校を目指したい」ということである。
この目標を設定した理由は、本校の現状を理解して頂く必要があると思う。まず、進学実績という点から本校の現状について申し上げたい。
進学実績は県内ではトップの座を不動のものにしているということは言えるかと思うが、東北・北海道地区で見た場合には、トップクラスに位置しているとはいえ、トップの座を確固たるものにしているとは言い難い。いうまでもなく、全国にはいろんなさらに高いレベルの学校が沢山ある。
今年3月の実績を具体的に紹介させて頂くと、地元東北大が86名、東京大学が12名、京都大学4名をはじめとして国公立大学の合格者数が205名であった。この合格者数という点では、県内トップではなく3番目である。上に213名の合格者を出している学校、あるいは209名の合格者を出している学校がある。
ただし、いわゆる旧帝大とかの難関国公立といわれている大学への合格者数を見ると、本校の場合は138名ということで、これは他を大きく引き離してトップの位置にある。因みに次の学校は92名、次が70名という具合になっている。そういった意味では県内ではトップの座が定着していると言ってもいいのかなと考えている。
また、今年の特筆すべきところとして、東大合格者12名は北海道の札幌北高、南高と並んで東北・北海道では一番上の数字になっている。中でも東大「理Ⅲ」の現役2名合格という実績は、全国公立高校の中では本校だけということで大いにアピールしたい部分である。
ただし、現役合格者に限ってみた場合、東北大では55名となっており、2位の学校と5名差で、かろうじて東北トップの成績を上げ得た。東京大学については7名ということで東北2位の成績に甘んじている。
また、今年3月の入試のためのセンター試験の結果を見ても、東北では第3位で、学校全体の学力という点からいうと、トップクラスには入っているが、トップの座にあるとは言い切れない状況である。
高校1・2年生の外部模試の結果を見ても同様な傾向が見られる。今年3月、そして昨年3月とここ2年間、難関大学の合格者数実績では東北地区のトップの実績を残すことができたが、実態としては本校の進学については実績の場合、上位層の頑張りとそれを支える浪人生、その結果このような実績を残したと言えると思う。
また、全国の動向に目を移してみると、先程申し上げた東大合格12名、この数字は公立高校の中では全体で18位、しかし国立の高校、私立の高校を含めると全国で55位の成績である。
最近では、大学合格力の指標の1つとして、医学部などの進学達成率があげられているが、この医学部の合格力という点では、「東大理Ⅲ」現役2名という快挙もあり、全国公立高校の中では9位の成績であった。
それでも国立・私立高校を入れると、全国47位という位置に甘んじているのが現状である。残念ながら全国には仙台二高以上の学校が沢山あるということだ。もちろん、高校の価値は進学実績だけで決まるものではないと思っている。
しかし、本校以上の実績をあげているほとんどの学校でも、やはり部活動をはじめ本校が大事にしているような部分を同様に大事にしながら進学面でも実績をあげているということを本校としても謙虚に学んで行きたいと思っている。
以上のような状況を考えたときに、宮城県のトップ進学校というだけの現状に甘えてはいけないと考えている。視野をさらに全国に広げながら、学校としての力量を高め、東北・北海道のリーダーとなれるような高校としての位置を確固たるものにし、ひいては全国屈指の進学校として、宮城県だけではなく東北・北海道地区の教育水準の向上に寄与して行くような、そういう学校を目指したいと考えている。
当面は東北・北海道のナンバーワンの地位、それを確固たるものにするということで、中・長期的には全国に名だたる屈指の進学校を目指したい。東大とか京大あるいは東北大学、あるいは医学部など進学実績を評価する大きな指標として、こういった大学とか学部が考えられているが、もちろん生徒の進学指導については、生徒が第1希望とする目標達成ができるような指導体制・指導力ある学校を目指すというのが基本である。
ただし本校の場合には非常に多くの生徒が、常に東大・東北大・あるいは医学部等を含む難関国公立大学を第1希望としているという実態がある。それを踏まえてその目標達成をしっかりと教え導く学校にしたいということである。
100年の伝統を超える懐の深い風格のある学校、さらには人格の錬磨、世界を舞台に活躍できる人としての品性の涵養、そういったものをあらゆる教育活動の柱にしながら、その資料にあげているような風格と品性のある全国屈指の進学校にしたいと考えている。
このような方向性の中で共学の問題を考えた場合、これまで述べてきたような本校の実績、こういった本校で学びたいという女子生徒については、今まで本校で学んだ、あるいは今学んでいる男子生徒と同様の高い意欲を持って本校を目指すことは明らかだと思う。本校の伝統、あるいは本校を熟知した女子生徒に門戸を開放することによる全体としてのレベルアップは明白ではないかなと考えている。
もちろん共学化に伴い、解決しなければならない問題は沢山ある。例えば、部活動の問題、あるいは本校の伝統ある学校行事、これをどういう形で存続して行くかという問題、あるいは生徒指導、多様化する進路指導の問題など検討課題は多くあるが、これらについては中期総合ビジョンの中にまとめてある共学化の基本姿勢を踏まえながら、いろんな方面からのご意見なども頂戴しながら解決の方向を見いだして行きたいと考えている。
最後になるが、全国屈指の学校への飛躍を目指したいということで考えると、これからの数年間が極めて重要な時期になると考えている。これまでの調整会議では、手続きの部分、入口の部分での議論に力点が置かれているような印象を強く持っている。
もちろんそこの部分は大切なものであり、疎かにしてはいけないということは分かっているつもりだが、しかしこのような議論が長く続くことによって生徒諸君、あるいは教職員間に非常に不安定な状態を作り出しているということも事実である。
このような状態が長く続くことで、現在、精力的且つ献身的に仕事に取り組んでもらっている教職員、また非常に優れた資質を持っている生徒諸君に、その仕事・勉強あるいは部活動の面でマイナスの影響が出てこなければいいがなぁと心配している。
説明させて頂いた本校の目指す学校像は、これまで仙台二高の未来を真摯に検討してきた結果であり、学校としてのこれまでの努力をどうかご理解頂いて、今打ち出されている19年度共学化という方向で具体的な準備に、どうか本格的に取り掛からせて頂きたいと学校では考えている。
また保護者の皆様方、同窓会の皆様方には今後ともこれまで同様にご支援を心からお願い申し上げたいと考えている。
以上、これまでの経過と今後の学校像等についてポイントを紹介、お話しさせて頂いた。

〈安部孝〉
では質疑ということで…、はい、最初に高橋さん。

〈高橋正道〉
今日の(2)のテーマ「共学化の基本的な考え方」についてということでのお話かというふうに思っていたが、どうも今までの経過、あとは抽象的、一般的な、そういうことはどこでも考えているんじゃないかというふうなお話なので、それについては今日は触れないというか、少し具体的な形になってくると、これはちょっと今のタイミングでは早いんじゃないかということは県教委の方には何回かお話していた。
ところが、たって今日、話を校長からさせて欲しいということだったので第1番目にお話し頂いたわけだが、大学進学の問題とか何かはいつも聞いていることなので、時間をそういうところに使わないで、これからは本当に内容の中心部分についてお話し頂くような形でご協力頂かないと、時間が2時間しかないので、その辺は校長先生にも気をつけて頂きたいと思う。朝倉さんから1つだけ質問がある。

〈安部孝〉
では、朝倉さん。

〈朝倉亮〉
今、高橋副会長が言ったように、(校長が)述べられたことは誠に抽象的で、しかも最も大事なビジョンの説明要旨が全く出ていない。それを縷々述べておられるが、手元に資料がないのでは反論のしようがない。
これ(資料)は是非出してもらいたいということと、それからもう1つ、学業優秀とか他校に比べての比較を言っているが、いわゆる心身の健全な発達ということについては何一つ触れていない、教育理念がない。そして最後に共学化に結びつけている。このようなことは許されない。
学校教育法45条、46条によると、高校の目標とは健全な心身を発達させるためにあるといっているではないか。それから教育基本法第1条においてもそう言っている。
心身の発達を助長する、促進する、そういう視点が欠けている。そういうものが欠落した上で、何が国際社会に貢献できる人材の確保であるか?
国際社会で働こうとすれば心身を鍛えなければならない。そういうスポーツ施設なり、スポーツの考え方が全く欠落している。これはビジョンが何もないということだ。あなた自身はビジョンを言っているつもりかも知れないが、それは何も理解していないということが第1点だ。
第2点としてこれは重要な話で、平成15年3月に、仙台二高が県教委に対して共学化の受け入れ態勢はOKだというようなことを言った。それを受けて、仙台二高が自主的に決めたんだから共学化を発表したというのが従来の経緯だ。
そういう意味では主体性はどこにあるのか、県教委にあるのか、仙台二高にあるのか。今回はどうか、どちらに主体性があるのか、こんなことをやっていたのでは行政訴訟でも起こさざるを得ない。今まで4回も(調整会議を)やっているのに全然話にならない。そういう中でそういうことを言うのであれば、主体はどちらなんだと、いわゆる法的責任を負える主体はどちらなのだ。仙台二高か県教委か?
第1回の(調整会議の)時は、校長さんは「私らは県教委の管理下にある、限界がある」ということを冒頭に言われた。
そうすると我々は今、発表した話は共学化、目標も含めて全部教育長の了解をもらっているというふうな理解に立つがどうか?

〈安部孝〉
では、3点あったからまず資料の件、今日は資料がなかったので後で提供できるのか。

〈渡辺尚人〉
ビジョンの資料については要旨版か概要版を次回にお配りしたい。以前にもお配りしたものと同じものだが、そういう形で対応させて頂きたい。
2点目だが、お手元の資料に「求められる生徒像」とあるが、その中に「学習」「生活」「進路」についてそれぞれ2点ずつ目指すべき方向が書いてある。
朝倉さんの仰るような人間性の育成、それから個々の心身両面にわたる資質の伸長、そういったものは当然大切なものとして揺るぎない教育の根幹として捉えており、6点にまとめてここに掲げてある。
これは現在の教育努力目標と全く同じであり、この辺りは10年経っても20年経っても変わることのない二高の非常に大事な基本的な方向だという認識である。たがら、日々の教育に対しても私共はそういう考え方で当たっており、決して理念がないわけではない。この辺りをここで確認させて頂きたい。

〈柏葉浩明〉
今のことについてちょっと付け足しになるかも知れないが、基本的にはこれまで大事にしてきた部活動あるいはその他の学校行事等、伝統ある部分についてはしっかりと継承して行きたいというのが基本にある。
あらためてそこの部分はお話しなかったので、欠落しているように受け取られたかも知れないが、決してそこの部分を軽視あるいは無視するつもりはないので、その点ご理解頂きたい。
それから3点目だが、県立高校なのだから最終的には県教委の決めた方向性に基本的には従わなければならないと思っている。ただ、学校としても今後の学校のあるべき姿、どうあるべきかということについては、学校としての主体性、積極性を持って検討すべきというのは、これはまたそれとは別の領域で必要なことであり、その部分でもこの問題について検討を進めて行きたい。

〈朝倉亮〉
そうするとその主体性の問題、いわゆる法的問題などになった場合、誰が一体責任を負うのか。それはあなたが2回目の会議でも県の方向性に従わざるを得ないと言われたが、それはそういうことでいいのだね?これを(あなたは)2回仰った。
しからば教育長にお伺いする。仙台二高はいろいろ言われているが、問題提起されているのだから、いろいろ考えるのは当たり前である。
しかしその方向性を出したのは教育長であり、県教育委員会だと思うがどうか?

〈安部孝〉
教育長。

〈白石晃〉
もちろんそうだ。県教育委員会だ。

〈朝倉亮〉
あなたは教育委員の一人でもあり、事務段階で重要な仕事をやっているわけだから、あなたの考え方が相当な影響を持っている。現に教育委員会ないしは事務局に従うと校長はこの会議で2回も言われている。従って、今後の一切の問題については、教育長ご自身が責任を負われると、こういうことか?

〈白石晃〉
当然である。

〈朝倉亮〉
了解した。今日はこのくらいにしておく。

〈安部孝〉
質疑は?

〈佐藤茂〉
ちょっと、事実誤認があるので…、

〈安部孝〉
はい、じゃあ、佐藤さん。

〈佐藤茂〉
校長さんが仰った中で、事実に反することがあるので指摘したい。
共学を前提にまとめた中期総合ビジョン策定委員会ではないということだが、これはそもそも平成13年に県教委から共学化するにあたって何をしなければいけないのか考えろと、各学校に下達されたものである。それがきて始められたものである。それははっきり言って事実に反すると思う。
それから各所で同窓会に説明したとか、PTAに説明したとか仰っているが、少なくとも同窓会で調べた範囲では、県教委側から同窓会側に対して公式に共学化について説明したことはない、そのような文書を頂いている。同窓会としても説明がなかったということで非常に憤慨している。これも事実に反している。
それから資料なので敢えてここでは引用したくないのだが、中期総合ビジョンの2頁に、「PTA・同窓会に対する総会や会報等で共学化の考え方を説明した」と堂々と書いてある。これも事実に反することがはっきりすればこれは大問題になる。
学校としてやってよいことなのかどうなのか、教育が行われている場で、こういうことを堂々と書いてしまってよいことなのかどうなのか、非常に疑問だと思う。

〈安部孝〉
3点だ。

〈柏葉浩明〉
よく聞こえなかったので、今の部分についてポイントだけお願いしたい。

〈安部孝〉
聞こえなかった?じゃあ、質疑のポイントだけを…。

〈佐藤茂〉
中期総合ビジョンの策定に当たって、共学化を前提に始めてはいないという校長さんのご発言があったが、そもそもこの中期総合ビジョンというのは平成13年3月、県立高校将来構想を受けて、県教委側から各学校に下達されて共学化するに当たって何をしなければいけないか考えろと、そこから始まっている。だからそもそも共学前提なわけである。従って、校長さんの仰ったことはこれははっきりいって嘘だと思う。

〈安部孝〉
まず、じゃあ、そのことについて、はい、校長先生。

〈柏葉浩明〉
これに関しては何度か繰り返しになるかと思うが、先程申し上げたようにそもそも本校の今後を考え始めたのは、平成10年に遡る。そういったことだから、その過程の中で確かに県の基本構想、将来構想なるものが出てきて、その中に共学化が盛り込まれたということはある。
従って、先程申し上げたように、将来的に本校としても避けられない問題かも知れないということで共学化の検討もその中に含めたという経緯はある。そもそものスタートは、その将来構想を受けてのスタートではないということをご理解頂きたい。

〈佐藤茂〉
理解できない。平成10年から考えたというが、学校の将来について考えるのはこれはいつでも考えるのが当たり前なわけで、なぜこの将来構想、そして二高の中期総合ビジョンが出たのか、その起点を考えればこれは共学化前提の話だ。途中で入ったなんて仰っているけれど、要するにそれは共学化を前提にする話から始めたということだ。いかがか?

〈柏葉浩明〉
前提としてはあくまで二高の将来を考えるということでスタートしている。

〈安部孝〉
じゃあ、そこのやり取りは終える。次に2点目、先程のPTAの関係。

〈佐藤茂〉
PTA・同窓会に対して、総会や会報等で共学化の考え方を説明したと堂々とこの書面に書いてあるが、PTAはいざ知らず、少なくとも同窓会についていうならば共学化についての…、
ここで鈴木隆一氏より、“書面とはどの書面ですか?”との質問あり

〈佐藤茂〉
校長さんが準備していなかったこの中期総合ビジョンだ。これを使って先程校長さんがご説明なさっていたけれど、PTAだとか同窓会に対して説明したと…、堂々と書いてあるけれども、少なくとも…、

〈安部孝〉
その事実があるかどうかということの確認をしているわけだ。

〈佐藤茂〉
少なくとも同窓会側としては共学化日程発表前に、県教委が同窓会に対して公式に説明をしたのかと質問したけれども、公的に、公式に説明したことはないとの回答であった。

〈安部孝〉
その事実を確認したいと…、

〈佐藤茂〉
だからこれは嘘を書いているということになる。

〈安部孝〉
じゃあ、校長先生、(中期総合ビジョンの)2頁について…。

〈柏葉浩明〉
学校としてはご説明申し上げたということ…、

〈安部孝〉
そういう認識だね?

〈柏葉浩明〉
例えばここに書いてあるように、「PTAとか同窓会に対して総会や会報等で共学化の考え方を説明」の解釈については、これまで会議の中で何度も、「それは校長がそういった所で説明する、それは説明に当たらない」というご指摘はあったが、これまでの経過等について、そこでこういう流れになっているといったような報告はさせて頂いたということである。

〈佐藤茂〉
その点については、前回・前々回も高橋副会長から指摘があったと思うが、同窓会なり、その関係の場に校長先生がいらっしゃって、挨拶の中で、単に共学化という言葉を持ち出しただけだ。それをもって説明であるというのは事実無根だからこれは取り下げろと、繰り返し指摘があったはずだ。

〈柏葉浩明〉
ということは、そういう所で「説明」という解釈が、そういうことであれば、不十分だったかも知れない。ただ学校側としては、これまでもお話ししたようにPTAの会報を通して、それからいっぱい保護者の方々がお集まりになるそういった場で、それまでの経緯等については報告させて頂いたということである。
「説明」でまずければ…、

〈高橋正道〉
“説明でまずければ…”、どうなるのか?“まずければ…”どうなのか?

〈柏葉浩明〉
「報告をさせて頂いた」という言葉に改めさせて頂きたいと思う。

〈高橋正道〉
県教委から頂いている資料にそれが載っていて、校長がどうこうして、県教委との間でどうこうであって、何年何月にこういうことを連絡した、発表した、説明を行ったというふうな感じで、報告の部分もあるが、そういうことが全部「何年何月」と入っている。
それについて、前任・前々任の校長からの報告だろうけれども、そういうことについて、(柏葉)校長もこの通りだと思っているのかどうか?県教委が出している資料に、そういうことが全部「何年何月何々」というふうに載っているが、それについて校長がこの辺は遺憾だったと言うなら、私は前からおかしいところは全部削除してくれと言っているのだが、それがまだ全然削除されていない。校長がそういうふうに考えるのであれば、この部分は外したいというふうなことを言えるか?

〈柏葉浩明〉
それまでの経緯を報告させて頂いたという部分で…、

〈高橋正道〉
いや、でもこれは議会の委員会にまで出ている、ご存知か?

〈柏葉浩明〉
要するに、あの…、

〈高橋正道〉
そういうことを知らないで、こういう所で過去の経緯だというふうなことで麗々しく引用しているから申し上げているのだ。だから、それはうっかりすると学校内、生徒さんに対しても、保護者に対してもそれがそのまま罷り通っていくということが非常に危険ではないかと思って、再三これについては注意を申し上げているわけだ。今日もまた校長はそれを引用している。

〈安部孝〉
それについて、もうちょっと説得力のあるような、何か事実の経過みたいなものというのはないのか。それについて、この言葉でしかない。ちょっとまた事実の確認になってしまうんだが…、

〈高橋正道〉
書類にもあるが、平成15年7月の発表までに県教委から直接同窓会に対して説明はしていないと言っている。これは何回も確認している。だから、学校側の説明というのがどういう説明だったのかというのが非常に大事なのだ。学校側がこれはこの通りでございますと言うのならこの件については徹底的にやる。

〈安部孝〉
ちょっと事実確認がずれている…、じゃあ、これはちょっと…、

〈渡辺尚人〉
私の方で考えるところ、思うところがあるので一言だけ述べさせて頂きたい。今の件に対しては校長が同窓会の支部総会、その他で説明したというふうな部分に関しては、同窓会の副会長さんが仰るように、十分な説明ではなかったというふうなことで、今まで出てきたことではないかと思う。
だからその部分と学校の説明という部分に関して、例えば平成14年7月11日発行のPTAの会報にはかなり詳しく共学化への対応が載っている。一部については説明がかなり不十分だったところは私としてもあると思うが、必ずしも説明をしてないかというとそうではないところもあり、その辺りはちょっと峻別して考えなくてはいけないのではないかというふうには思う。

〈高橋正道〉
これは再三申し上げているように、学校側が県教委から言われたから何年何月に、こういうふうに説明したとその時は安易に言ったかも知れない。
しかしその後に資料になって出てきて、再三使われているということが非常に問題だ。だから、教頭先生がそうお考えだったら全部整理し直して、「これは間違いない、説明だ」、「これとこれは単なる挨拶だ」というふうなことをきちっと区別して資料を出してほしい。それだったら分かる。

〈柏葉浩明〉
それらは前回だと思うが、こちらから出された資料の中の経過の中にある部分だ。

〈高橋正道〉
調整会議の中で出された資料だろう?

〈安部孝〉
もうちょっと詳しい部分について資料として…、この問題はこれでいいかな?

〈高橋正道〉
この問題について本当にやるとなると、かなり時間がかかるので…、

〈安部孝〉
このことに関連してはよいか?それでは後で資料として出して頂けるようなものがあれば、今のことに関連して出して頂くとして…、
それでは今日の3点目として、4回目の会議の積み残しということで、議題にしたい。じゃあ、鈴木会長さん。

〈鈴木密明〉
積み残しに関しては、私と内田副会長の2人で質問させて頂く。
まず私から3点ほど素朴な質問というか、共学化の問題点について思うところを述べさせて頂きたい。
まず、将来構想あるいは前回の県側からの回答書にもあるとおり、簡単に言うと、学力向上の1つの手段だというふうに述べられている。
二高が仮に共学化になった場合、一女高の優秀な女性が入ってくるだろうということが大いに予想される。でも、よくよく考えてみると、その分一女高のレベルは下がってくる。
数学的に見て、二高が共学になったから優秀な生徒が突然できるという根拠はないと思う。前回の安積黎明高校と安積高校が共学化になって、この2つで進学実績が上がったとなっているが、確かにこの2つの進学実績は上がっているけれども、福島県全体の実績は変わっていない。
じゃあ、百歩譲って二高が共学化になった場合、いろんな相乗効果があって、進学率が上がるというお考えもあるかも知れないけれども、残念ながら宮城県は過去40年間、進学実績は全く変わっていない。
この間、80%の学校が共学になったわけで、共学化イコール学力向上ということは、もう少し検証の必要があるのではないか。もっともっと大切なところに県の税金を使う、あまりにも学力低下の対応策として共学化、確かに数字を見ればそうだが、宮城県全体のことを考えるなら、くどいようだが既に共学化になって何年も経っているのに変わっていないということについて疑問を感じでいる。2つ目に…、

〈安部孝〉
まず1つ行きたい。1つずつ行こう、これはどちらへの質問か?
では、教育長。

〈白石晃〉
なぜ共学化をするかということだが、これは鈴木会長さん、PTAの会長さんの方に回答で書いているとおり、一応5つの理由を書いている。それで、これはもう申し上げなくてもよいと思うが、「学力向上」という言葉が5つの理由にこれが入っているだろうか?

〈鈴木密明〉
いえ、これは入っていないが…、

〈白石晃〉
ということで、結果的に学力向上のねらいがないわけではない。

〈鈴木密明〉
じゃあ、回答として承っておく。では2つ目に…、

〈安部孝〉
はい、2点目。

〈鈴木密明〉
結局、今の県側の意向では共学化は決して学力向上を狙ったものではないということで、了解した。2つ目だが、この間、17年度9月の補正予算が出て、17年8月の宮城県の予算編成の考え方の中で、17年度当初予算は非常に財源不足である。財政再建推進プログラムに基づき、徹底した歳出削減を図る。なおかつ県税収入の動向が今まだ不透明であって、財源確保が非常に困難な状態にある。よって当面急を要する、例えば竹の内産廃問題のような施策を厳選して必要な措置を講ずることというふうになっている。
この中で16年度の県の歳出額はどのくらいか?

〈安部孝〉
何の歳出?

〈鈴木密明〉
一般歳出。

〈白石晃〉
一般会計の歳出か?

〈鈴木密明〉
そうだ。

〈白石晃〉
大体8,000億円である。

〈鈴木密明〉
16年度は7,876億円だ。そのうち、学校教育関係はいくらぐらいか?

〈白石晃〉
大体25%。

〈鈴木密明〉
違う。2,176億円、27.6%だ。
要するに、学校関係費が県の支出の中で一番ウエイトを占めている。こういう歳出の中で、やはり県としては費用対効果の出るところにきちっと税金を使うべきだ。
何回も言っているが、何ら制度変更のメリットがないところに、こんなにお金を使ってもいいのかというところに非常に疑問を感じている。
その中で16年度、私立学校助成金というのは102億円使っている。10年間で私立学校に対する県の補助は1,000億円になる。
県の言っている税金でやっている高校は男女の性差があってはおかしいという理論がどうなのかなという疑問もある。
少し横道にそれるが、一女高の共学化は漏れ聞くところによると現状の敷地内の校舎でやるとのことだ。県の財政が大変厳しいものだから、多分今の現状でやらざるを得ないというふうに言っている。
2、3人の一女高の現職の先生方に聞いたが、現にあの校庭の敷地という物理的なところで共学化が果たしてできるのかといった質問に対しては、残念ながらできないという回答だった。
それほどお金がタイトなのに、あるいは一女高の問題をきちっと議論をしていないのに、二高だけ先にやるという問題がある。ここで言いたいのは、非常にコストがかかることについてもう少し共学化について、県の大切な税金を使うのに検討して頂きたいということが2点目だ。

〈安部孝〉
じゃあ、財政の問題、教育長。

〈白石晃〉
予算の話は先程言ったように、2,500~600億円ぐらいだが、その90%が人件費だ。先生方の給与だ。そして、残りの約半分がいわゆる物件費、物件費というのは、例えば学校の管理費だ。それから残りが大体施設整備に回るということだ。それが大体の財政構造だ。
それで例えば、共学化のために学校を直す、ロッカーをやる、それからいろんなトイレを直す、あるいは学校統合という話もあるが、そういったお金については、大体今まで年間100億円ぐらいだったけれども、今は財政が厳しいということで、財政再建プログラムを作った当時だから、14年度あたりから85億円の枠で一応やりましょうということで、それはいわゆる財政ルールといっているが、その中でやりましょうということにしている。
それで単年度はそういう形にしているが、じゃあ、我々は予算をどう考えるかという話だが、単年度毎には考えない。例えば22年というと、17・18・19・20・21・22とか、大体5,6年のスパンがある。
そうすると、そのスパンの中でどの程度できるかという話でそれで織り込んで行く。そういう点でいえば、例えば共学化をいつからやるかについて、いろいろ現在調整中だが、各学校ごとに、いつ、いくら必要なのかということをある程度はじき出しながら、その中でできるかどうかというところを検討している。
従って、その厳しい財政というのは当然分かっているので、その前提の中でどうやりくるかというところを今かなり苦しんでやっているところだ。

〈鈴木密明〉
あまり時間がないので、3点目だ。将来構想の中で、特に考慮しなければならないのは少子化問題ということで、この中にも平成25年度には、平成12年現在の中学卒業生の4分の3になるというふうに書いてあるが、このあたりは県としてどういうふうに考えているのか。少子化という問題をどのようにとらえているのか。

〈安部孝〉
教育長。

〈白石晃〉
少子化ということは児童生徒が減るということである。大体今のペースで行くと、1年間で1,000人減る。そうすると、例えば義務教育の関係で小・中学校を全部なくして行かなければならないということになる。
いろんな考え方があるが、仙台以外の郡部の方は人口減少率がかなりひどい。
仙台市はまだまだよいが、郡部に行けば減少率がひどいということで、これは市町村教育委員会も大分悩んでおり、学校を統合するというところが出てくる。
かつてはいろんな中学校が2つ、3つあったところを町で1つしか作らないとか、そういった手だてをしているところがある。高校の関係も大体それにスライドして行くわけだから、当然に高校の数、それをどうするかという考え方があり、その前提として将来構想というのが出発点になったというふうには理解している。

〈鈴木密明〉
今の回答を聞くと、共学化の1つはやはり生徒数が少なくなると、学校教育がなかなか成り立たないということで、統廃合を含めて共学化があると思う。

〈白石晃〉
それはちょっと反論がある。

〈鈴木密明〉
ちょっと話をさせてほしい。この資料を配布して頂きたい。
確かに宮城県全体としては少子化の傾向にあるが、いわゆる今、共学化をしようとしているのは仙台市内に特化しているわけではないが、仙台市内に限っている。
仙台市内の児童数を平成16年5月1日、仙台市教育委員会のホームページで調べたところ、中学校3年生が9,106名、小学校1年生が9,087名、従って、平成24年の段階でも現在の中学校3年生と同数である。
次に仙台市の年齢別人口、これは住民基本台帳ではなかなか分からないので、仙台市役所総合政策部政策企画課で聞き取りをした。
17年3月31日現在、1歳児の総数は9,542名、同じ時期の14歳児が9,577名。
従って、平成30年までは仙台市内は多少の入りくりはあるが、それは推測でどうしようもないところで、取りあえず判断材料とすると、住民基本台帳の今の年齢別で見ると児童数で見ても、年齢別で見ても仙台市に限っては人口の減少はない。
ビジョンで言っているとおり、県全体で4分の3というのは確かではあるけれど、こういう問題はやはり地域というものをきちっと検証しないと、県全体での議論というのは、少し検証が足りないかなというところがある。

〈安部孝〉
教育長。

〈白石晃〉
おそらく鈴木会長さんが仰りたいのは、少子化で子供が減って行く、郡部では統合して行く、統合することが結局は男女共学化することではないかというようなお話だと理解した。
そこ(資料)に、共学化は何のためにするかということを書いたように、それは統合という話とは次元が異なる。我々が男女共学をする理由は、ずっと書いてあり、前から説明しているが、あくまでも性差だけで受験の機会を制限すべきではないという理屈だ。学校そのものが税金で作られているということもあり、それでは等しく教育を受ける権利というものからいって、いかがなものかという理屈を立てたということだ。
従って男女共学をする契機としては、例えばほかの地域でいえば角田であれ、築館であれ、いろいろ統合という契機はあったけれども、統合イコール男女共学ではないということを前から言っている。この点は理解して頂きたい。
それから仙台市の年齢別人口、これはデータ的にはおそらくそのとうりだと思う。それで、仙台市の関係は、仙台都市圏も含めてだが、例えば富谷、利府辺りは高齢者人口の率はかなり低いからもっと若いと思う。
そうすると、子供の数はおそらく極端には減って行かないだろうということは見通しはつく。この見通しはあるが、先程言ったように各学校が男女共学化をする理由としては、子供が少なくなったから男女共学化するということではない。先程言ったようにあくまでも学校という施設の性格、それから受験する者の考え方、そこから共学化を進めるということにしているから…、ここで佐藤茂氏から、“それで理解し、納得する人はいませんよ”との発言ありということで我々は考えているので、その点は我々の考え方はそうだというふうにだけは申し上げておきたい。

〈鈴木密明〉
最後にまとめなのだが、こういう大きな問題を一言でいうと、性差だけだという非常にシンプルな分かりやすい、そういう理屈でやってしまうということが大変よく分かった。
なおかつ今回の質問で、学力低下は決して議論しないということのお話は承ったので今後これについて議論するもりはない。

〈浜田毅〉
ちょっと質問はよろしいか

〈安部孝〉
今の関係で?

〈浜田毅〉
福島県の事例で、共学化した後、進学率全体で見れば一切向上しないというような発言はどのようなデータに基づくものか?

〈鈴木密明〉
大学進学率、県の何番目というものだ。

〈浜田毅〉
全体でというお話では…?

〈鈴木密明〉
福島県全体で…、

〈浜田毅〉
全体で、全体の大学進学率が、順位が変わってないと、そういうことか?

〈鈴木密明〉
そうだ。

〈安部孝〉
浜田課長補佐、よろしいか?

〈浜田毅〉
もう1回確認するが、共学化後に福島県の大学進学率は全国順位で、都道府県の順位で変わってないということか?

〈鈴木密明〉
多分そうだと思う。逆にその辺りもきちっと検証したデータを我々は頂きたい。

〈浜田毅〉
いやいや、変わってないというのでどの辺かなとちょっとお伺いしたのだ。

〈鈴木密明〉
それは進学率ということで確認してほしい。

〈安部孝〉
会長さん、よろしいか?PTA関係の積み残し、じゃあ、内田さん。

〈内田正之〉
積み残しに入る前に、校長先生の説明を聞いてちょっとだけ…。
県教委が一律共学化を政策決定している中では現場の校長先生としては、共学化後のビジョンをシミュレーションするというのは当然の話だし、それは大事なことだろうと私も思っている。
そういう思いでさっきのやり取りを聞いていたが、ただ一言だけ、今日、お配りになったその資料と、ご説明を伺っていて共学化ならではのビジョン、及び共学化するとこういう点で勝れたものになるんだというところの説明がなかったように思う。
校長先生には今後一律共学化の政策変更がなされれば別だが、今のままでは一律共学化を見据えたビジョンというものを立てる立場にあると思うので、共学化ならではのそのビジョン、共学化ならではの、私がいつも言っているメリット、そういったものがしっかり具体化されたようなビジョンをお立てになられるように要望したい。
積み残しだが、これは前から言っているように、2つの点、ただいつまでもそのメリット・デメリットについてばかりやっているとほかの論点に行けないので、今日は確認だけさせて頂いて、それでほかの新たな論点、同窓会からも出ると思うのでバトンタッチしたい。
1つは、一律共学化の5つの根拠、これの意味するところについてお聞きしたいのだが、これは今までのような共学と別学の併存、これも1つの政策であり、一律共学化というのも1つの政策であって、これはいずれも選択可能な政策選択の問題、あるいは今は併存しているから、それを一律共学化に変更するという政策変更の問題であるという理解は、これでよろしいか?

〈白石晃〉
結構だ。

〈内田正之〉
それではその前提でお聞きするが、5つの根拠のうちの2つ、「性差による受験機会を制限する合理性がないのではないか」という点と、あともう1つ、「県の機関であるから県民の負担で設置運営されている公教育においては、そういう差別とか、区別はしない方がいいんだ」と、この主に2点についてお聞きする。
これは憲法の平等条項、あるいは教育基本法、学校教育法、その他これに関連する法令、文部科学省の政令等も含めて、あと県の条例も含めて構わないけれども、そういったものから考えて、今のその共学を併存させるというのはそういう憲法、あるいは法令に抵触するものではないというふうに理解してよろしいか?

〈安部孝〉
教育長。

〈白石晃〉
一律共学化で行くか、あるいは選択肢を残した併存で行くかという議論については、これはいわゆる法令…、内田副会長がよくご存知と思うが、法制局の方でいろいろ議論になった。
これも何回目かの会議の中でご紹介申し上げたが、それについては基本的には学校設置者の判断で行きなさいということになっている。それで学校設置者、県あるいは県教委の方でどう行くべきかという判断でもって今回出してきている。
従って、憲法、学校教育法、それから教育基本法等々に照らしていって、そういう問題が派生してきたんだろうというふうに思う。
そして政府見解ということであれば、これは共学を一律に強制するものではないということがあって、それについて、「但し、設置者の裁量権にゆだねます」ということにしているので、先程の関連で政策判断という裁量権を私共は働かせて頂いたということである。

〈内田正之〉
くどいようだが、政府見解によるそういう政策判断、従って、自治体における裁量の中の政策判断として一律共学化を政策決定したんだと、こういうふうにお聞きしてよろしいね?

〈白石晃〉
結構だ。

〈内田正之〉
一律共学化を推進する論拠の中には、むしろ公立別学が残っていることが、そういう平等条項に違反するという考えもあるようだが、今の県の立場は少なくともそういう立場はとっていない、そういう考え方は持っていないという理解でよろしいのか?

〈白石晃〉
法律に違反するという立場は取っておらず、あくまでも政府見解に則って我々は政策判断をしたということだ。

〈内田正之〉
分かった。共学化の根拠の問題はこれで終わりにして、次に前回問題になった採択された請願の理解の問題、これについては確認の意味でお聞きする。
今日、配布された議事録の36頁の真ん中よりちょっと上の所から教育長の発言があるが、この中で請願についての教育長の見解が出ている。
この中の発言の4行目から5行目、私がその前の発言で、「かぎ括弧」というふうに言ったところだが、『「かぎ括弧」というのはあくまで請願の中の表現です』と…。

〈安部孝〉
じゃあ、ちょっと資料を見ながら…。

〈内田正之〉
今日、配られた資料(県教委側作成の「第4回調整会議」の議事録を指す)の36頁。

〈白石晃〉
議会の議事録なのか?
ここで佐藤茂氏より、“何か準備が悪いんじゃないですか”という発言ありいや、事前に言われれば用意はしたのだが…、はい、分かった、どうぞ。
ここで内田正之氏より、“大体、お察しはつくでしょう”との発言あり

〈内田正之〉
「あくまでも請願の中の表現です」というのは、教育長の言いたいことは何だったのかということをお聞きしたいのがまず第1点だ。取りあえずそれで一旦止める。

〈白石晃〉
これは議会の議事録からの話だが、請願の要旨というものがあり、請願にどういうふうに書かれているかというと、「仙台二高の平成18年度共学化を当分の間凍結して、地域の特性を活かした今後の県立高校のあり方について十分な議論を尽くし、関係者の理解と協力を得ながら進めなさい」ということでの請願の趣旨である。
その「かぎ括弧」の部分について、「次の附帯意見を付して採択するものと決しました」
ということである。そして附帯意見があって、いわゆる前文というが、附帯意見の前の文章ということで、「県立高校将来構想の推進にあたっては次の3点に配慮しながら着実に進めるものとする」ということなので、これは全体的な附帯意見をくくる全体的な話として理解している。ということは、平成12年度、平成13年3月に作った将来構想、これについては着実に進めなさいというところが大枠の話なのだ。それでさらに3つある。
1つは、「県立高校の共学化は全体のスケジュール及び将来像を明確に示し、推進されたい」というのが1点である。
それから2番目が「学力低下、学区制等の諸問題について配慮されたい」。
それから3番目、これは二高さんも関係あるけれども、「仙台二高の共学化は1年延長しなさい。そしてこの間、関係者と十分な話し合いをされたい」ということで附帯意見が付いたそれで私の解釈になるけれども、請願の趣旨は「当分の間凍結しなさい」ということで書いてあるけれども、はっきり申し上げて、それに対して附帯意見は矛盾したことを言っている。それで1年延長しなさいということだ。
ということは、この請願が出される前の教育委員会の判断としては、18年4月からやりますよということで対外的に言っている。そしてそういったことを受けて請願が出されてきて、当分の間凍結せよというような話があったわけだけれども、その中で議会の方で議論があって、「共学化を1年延長して、その間、関係者と十分な話し合いをされたい」ということなので、この点でいえば、請願の趣旨とそれから附帯意見の中身が異なっている。
ということであれば、これは附帯意見の3番目のところは、これは我々としては1年延長する、延長せよということでの議会の判断があったということで理解している。さらに付け加えて申し上げると、安部先生がいる前でちょっと何なんだけれども、請願は一部採択というのは規則上はあり得ない話である。請願は採択するか否決するかのどちらかなのだ。一部ということはあり得ない。
ただ、いろんな事情があってこういった一部採択ということでの表現がなされたというふうに我々は理解している。

〈安部孝〉
内田さん、どうぞ。

〈内田正之〉
請願の一部採択があり得ないのかどうかについては、これはまたあとどこかで議論させて頂くが、教育長のこの請願が採択された趣旨についての理解というか解釈は分かった。
その上で確認だけさせてもらうが、採択されたものは附帯意見の付いた「かぎ括弧」の部分という理解でよろしいね?

〈白石晃〉
ここの議事録を読む限りはそうなる。

〈内田正之〉
その議事録以外のもので何か判断するような根拠というものはお有りなのか?

〈白石晃〉
ない。

〈内田正之〉
それではこの問題はこれでよい。
次にこれが最後の質問になるが、これも教育長の今のその発言と議事録の発言のところなのだが、さっき私が取り上げた「あくまでも請願の中の表現です」というところから2行あとに、「ということは、次の附帯意見の方が、これが重要なポイントになるというふうに認識しております」、附帯意見の方が重要であるというふうに認識しているというその趣旨とその根拠についてお伺いしたい。

〈安部孝〉
教育長。

〈白石晃〉
これは先程言ったように、文理上の解釈でいけば非常に難しい解釈になると思う。それで請願の全体があって、その一部を切って、そしてそれに対して一部採択したという形になるので、これをどういうふうに文理上解釈するかについては非常に難しい面があるかと思うけれども、我々としてはそこの認識の話については、私が当時、当事者としていたというところもある。それで議会の中でのやり取りもある。
そういったこともあって、附帯意見が出されてきた背景なり、方向づけというところのものを理解しているというふうに私自身は思っている。
従って、請願のこの「かぎ括弧」の部分を取り上げて、附帯意見をこういうふうにして付けたということについては、やはり附帯意見という大きな意味があるんだろうというふうには思っている。
従って、附帯意見が3つ出されているが、これについて県教委としてはきっちりと対応した形で1年間過ごすということだろうというふうにはその時は認識した。

〈安部孝〉
内田さん。

〈内田正之〉
これは意見にわたることなので回答を頂かなくとも結構だが、先程の教育長の説明の中で、本文とその附帯意見とが矛盾すると。その矛盾する中で教育長自身としては、種々の状況を考えながら、附帯意見の方が重要なんだという考えに立っておられるということなのだが、これは前に質問した文理以外に、議事録以外に何かそう判断する根拠、資料というのがあるのかということに関しては、「ない」と仰るから申し上げるのだが、こういう本文の部分と附帯意見の部分というのは、一見矛盾するようなものがあるときには、それはまさに矛盾するものを敢えて議会で出したというのではなくて、議会としては、これは議会の1つの意思として表明したわけだから、それは整合性を持つように理解すべきだろうと思う。
この本文とこの附帯意見の「三」の部分で共通するところは、この本文の「十分な議論を尽くし、関係者の理解と協力を得ながら進めること」と附帯意見の「関係者と十分な話し合いをされたい」と、ここが共通部分である。
つまり、「当分の間、凍結する」というその「当分」の具体例として、県議会は「1年」というふうな期間をあげたのだと思う。1年の間、関係者と県教委が真剣に話し合えば、本文でいうところの「関係者の理解と協力を得ながら進めること」が可能なんじゃないかと、そういうふうに県議会は考えて1年間延長しなさいと、要するに1年間延長している間に、十分な話し合いをして理解と協力を得るようにしなさいと、こういうふうに読むのが私は整合性のある読み方だと思うのだが、どうか?
だから、どちらが重要なのかとか、附帯意見が重要だとかいうことではなくて、これは相俟って重要なのだと思う。違うか?

〈白石晃〉
おそらく請願の中身とそれから附帯意見の中身、これはそれこそ解釈上は、矛盾することなく解釈すべきだというふうには思う。これは姿勢の話だ。
そういうことでいえば、その姿勢を立ったときに、じゃあ、どういうふうに解釈するかということでいけば、先程内田副会長が言ったように、関係者の理解と協力の部分とそれから関係者との十分な話し合い、この部分が当然重なる。
それから重ならない部分は、「当分の間、凍結し」というところと「共学化は1年延長し」というところだ。それで我々は、「共学化は1年延長し」ということであるから、そのとき共学化は18年4月なので、「1年延長し」ということは、当然共学化は19年4月からということの前提があって、「1年延長し」という言葉が使われているというふうに、そこで整合性を見出しているということである。

〈鈴木密明〉
じゃあ、何のために1年延長するのだろうか?

〈安部孝〉
教育長。

〈白石晃〉
それはかえって私の方が聞きたいくらいだ。

〈鈴木密明〉
それは本文に書いてある「関係者の理解と協力を得る」ことじゃないのだろうか?そのための1年間だと思うが…。

〈白石晃〉
そういうことだと思う。ということで…、

〈鈴木密明〉
そういうことだね。はい、分かった。今、はっきり聞いた。「理解と協力」というのが前提条件だね。じゃあ、今まで5回(会議を)やったが、同窓会、PTAの理解と協力は、教育長、得られたと現段階で判断されるか?イエス・ノーでお答え頂きたい。

〈白石晃〉
これは正直分からない。

〈鈴木密明〉
いやいや、分からないということではなくて…。分からないということは結局、理解は得られていないという日本語だと思う。その言葉の揚げ足を取るようで大変恐縮だがここは大事なところだと思う。

〈白石晃〉
もう1つ揚げ足を取るような言い方をすれば、附帯意見は「関係者と十分な話し合いをされたい」ということである。

〈鈴木密明〉
いえ、私の質問は理解が得られたかどうかという教育長の認識はどうなのかということなのだ。

〈白石晃〉
それに対する回答になるが、やはり、「関係者と十分な話し合いをされたい」ということなので…、

〈鈴木密明〉
いやいや、理解が得られたかという質問だ。

〈白石晃〉
そこら辺は「言葉のあや」だ。

〈鈴木密明〉
いや、言葉のあやじゃなくて、教育長、理解が得られているかどうか、ここはしっかり答えてほしい。この4回をやって、理解を得られているかということだ。教育長の認識は?

〈白石晃〉
この4回をやってるわけだから、この間十分な話し合いをしているわけだけれども、まだまだ理解はされてないというふうには思う。

〈鈴木密明〉
分かった、理解はされてないと…。
ここで内田正之氏より、“1つだけ言って、私の発言は終わりにしますから”との発言あり

〈安部孝〉
はい、じゃあ、内田さん、どうぞ。

〈内田正之〉
今、教育長が揚げ足取りというふうに仰った「関係者と十分な話し合いをされたい」と書いてあって…と、その後は何も仰らなかったけれども、「関係者の理解と協力を得ながら」とは書いてないということを多分その後に言いたかったんだろうと思う。
これを整合性のあるように読めば、当分の間の「当分」というのを、議会としては1年間おけばまず大丈夫だろうというふうに期待したということじゃないのか、まず、それで十分に話し合えばいいというのは、話し合いだけすればいいというのではなくて、1年の間そういう十分な話し合いをすれば本文の「十分な議論を尽くし、関係者の理解と協力を得ながら進めることに当てはまる」、それを期待したというふうに読むんではないだろうか。違うのであればそれは見解の相違だが…。

〈白石晃〉
ということは、おそらく見解の相違だと思う。

〈安部孝〉
じゃあ、今のことはもういいか?

〈内田正之〉
私は結構だ。
ここで高橋正道氏より、“今のことに関連して…”との発言あり

〈安部孝〉
じゃあ、関連して新しいこと。

〈高橋正道〉
今の議論で、我々の理解なのだが、この「かぎ括弧」内のことは実はいわゆる仙台二高の1年延長という、18年が19年になったということだけでなしに、「一」と「二」についても議会は1年延長する中で、こういう問題については当然県教委が進めて考えているはずだからすぐに出てくるという期待はあったんじゃないかなという気がする。
実際には全体スケジュールはまだ決めてないし、将来像も明確に示されていない、学力低下の問題もまだまだ、学区制についてもまだ問題ありますということだ。そうすると、この「一」・「二」についても「三」と同時にこの問題が出てきて、それで議論されるはずのものが議論する材料がまだ出てきていないということの中で、「三」の問題の19年度についてだけ、いわゆる二高の問題についてだけ1年間の中で議論していくというのはちょっとおかしい。さっきから聞いていると、議会が期待しているものとはちょっとズレがあるのじゃないかということになってくるよ。

〈安部孝〉
はい、教育長。

〈白石晃〉
ここは「仮称」ではあるけれども、「仙台二高共学化調整会議」である。二高についての話し合いをする場である。二高の共学化についてどうあるべきかということで議論をする場ということでいろいろ議論はあるけれども、そういうことで設定されたものというふうに理解している。
ということであれば、学力低下、学区制の関係については確かにここでは書かれてあるけれども、前文の方で将来構想という話があって、この将来構想の推進に当たっては次の3点に配慮しながら着実に進めなさいということだから、将来構想の大枠の中でこれはきっちりと配慮して着実に進めなさいということだ。
だから理屈から言えば、期限が切られているのは3番目しかない。それで但し、1番目の「県立高校の共学化は全体スケジュール及び将来像を明確に示し、推進されたい」というところはこれは二高の共学化とは当然絡む話だし、それから高橋副会長からも言われているからこれは早い時期に明示できる、出して行きたいというふうには考えている。

〈高橋正道〉
それは非常にタイミングが悪いのでこういう議論になってくると思うのだが、やはり二高の問題というのは確かに18年と出たから、それについてなのだが、現実には請願を含めて「当分の間」というのは18年度もなくて、19年度もないかも知れない、少なくともほかの学校との関連というものもやっぱり視野に入れながらということで、これら「一」「二」の問題も含めて考えなくてはいけないと思う。
地方については進んできているが、仙台市内の公立高校については、その時点ではいわゆる二高の関係だけが15年の7月に発表されているというだけの状態だから、それについて二高関係者としては問題ありというふうにして請願が出ていった。
それを議会は二高の問題だけでなしに、将来構想との関係も含めて考えた上で議会での採択がなされた。
「かぎ括弧」内というのは、そういう意味では全部に関係してくるというふうに私は思う。それなりのスピードというものがあれば議論は非常にやりやすいんだけれども、その片方が出てこないものだから、二高の19年だけの議論になりそうな感じだけれども、問題的には関連しているのだから当然、(全体スケジュールや将来像等が)出される、出されると前から、出す、出すというのは去年から言っているのに、それが出てこない。
それらも出てきてみないと分からないので、それに対する信頼感というのは我々としては現在持っていない。だからそれらが出てくる状態を含めて、19年という問題も当然議論されるべきじゃないかと考えている。それなしに議論をして行くというのは二高の調整会議ではあるが、理解ができない部分というのはそういうことだと思う。

〈安部孝〉
じゃあ、朝倉さん。

〈朝倉亮〉
教育長ね、前提が13年度の将来構想でそれからいろいろ話がこじれて、ここまできたわけだから、今、安部前(文教警察)委員長がおられるけれど、どの程度までこういう問題をご理解なされたかということがちょっと分からない点だ。
しかしこれは相互に少し説明が足りなかった点がある。
それはさておき、13年度将来構想がスタートして、こういうふうに請願まで行ったわけだから、それは本文と附帯意見「一」「二」「三」の整合性の問題があるというのは、内田さんが言ったとおりで間違いなわけだ。
教育長自身が今日、一部採択というのはどうかなと首をかしげておられる。そのくらい難しい問題であるということは分かる。しかしこうなった以上は、少なくとも13年度将来構想を立てたのは教育委員会であり、教育長だから、当時の教育長かも知れないが、それに対してそういう問題の発端を作った責任があるんじゃないかと思う。
その責任でもって、二高の1年だけの問題じゃなくて、やっぱり総合的に解釈して総合的に説明すべきではないか。だから、調整会議は二高だけの問題だということは、県の教育行政全般に責任を負う「司」にある者として、そうやって回避すべき問題ではないと思うがどうか?

〈安部孝〉
じゃあ、教育長。

〈白石晃〉
教育行政ということで教育委員会という合議体がきちっとやっているわけだが、年度でいえば12年度で将来構想を出したが、これは宮城県の教育委員会が責任を持ってそこで決定したということだ。従って、この将来構想に対して全的に宮城県教育委員会が責任を持つということになる。
それで先程のお互いに議論が足りなかったんじゃないか、説明が足りなかったんではないか、というようなお話がちょっとあったが、この将来構想を出したときは、その前に中間案というのを出している。大体の骨子案ということで出しており、それでもかなり議論をしている。それは議会の中でも議論している。
それからあとは、その意見を踏まえて最終案ということで、これは12年度になるが、その段階で最終案を決定する際も議論している。だから、教育委員会はこういう構想を出してテーブルにあげたわけだけれども、その中ではまるっきり民意を聞かないということではなくて、そういったいろんな会議を経てその構想までたどり着いたということである。
それは議論が足りなかったと言われれば、それはどこまでやればいいのかというところもあるけれども、そういう手続きだけはきっちりとやってきたとは思っている。

〈安部孝〉
はい、佐藤さん。

〈佐藤茂〉
その将来構想の話になるが、実はここに平成13年3月の第677回県教育委員会定例会の議事録がある。第15議案の中で、県立高校将来構想最終案について審議している。
これは、事務局の方が何かいろいろご説明なさって、そのあと何名かの委員の方が発言なさっているが大した議論をしていない。例えば、“委員長、県民からどのような意見があったのか”。それに対して保理室長という方が、“さまざまである。共学化に反対する意見が多かった”と、この程度のことだ。
それで小野委員という方が最後にこう言っている。“東北・北海道ブロックの会議の席で、岩手で再編時には随分抵抗があったが、いざ進めてみると結果的に学校がよい方向に進んでいると聞いたことがある”と。「聞いたことがある」ということを根拠に議論している。ただそれだけである。
そして最後に、委員長が委員全員に諮って「承認」となった。まずは承認は承認であって、これを本当にその政策決定だと言えるのか。議論した、議論したと仰っているが、これは一体、どれほど十分で意味のある議論だったのか非常に疑問だ。
実際、この平成13年3月16日の県教育委員会定例会全体で2時間、2時間の中で議案を6本扱っている。その6本のうちの1つがこの将来構想最終案だ。ただ、どんなに見込んでも2時間しか議論していないということになる。実際には多分もっと少ないと思う。これが(県教委が)言っている「十分な議論」なのか?
それから、同じ時期の県議会本会議の議事録とか、それから文教警察委員会の議事録、これなんかも拝見したが、本質に迫るような議論というか、なぜそうしなきぁいけないのか、そういう議論っていうのはない。もう共学化するのが当たり前、共学化に反対するような人達がいるけれども、どうのこうの…と、そんな程度の議論しかない。本当に議論が尽くされたのか疑問に思う。

〈安部孝〉
朝倉さん。

〈朝倉亮〉
今、佐藤さんの意見が入ったが、13年の構想を出したのは教育委員会で、それに従って問題がここまできた。私が聞きたいのは、今、内田さんが言った本文と附帯意見の「一」「二」「三」との関係だ。
発端がそういうわけで、責任ある構想であるならば、そういうふうな解釈のトラブルというのは、行政当局として有権解釈をみんな示すべきだ。そうしないと議論は進まない。教育長は責任ある行政官のトップにある身だから、当然責任ある身だ。これは大問題だから、それをもう1度聞きたい。

〈安部孝〉
教育長。

〈白石晃〉
有権解釈という言葉だが…、

〈朝倉亮〉
もちろん行政当局のものだ。

〈白石晃〉
附帯意見の見方について、これは先程内田さんに対して申し上げたように、こういう意味、こういう認識を持ってますというふうに私はお答えしたつもりだ。

〈朝倉亮〉
二高の調整会議だという話はどういうことなのか?だからほかの問題は議論しないという考えのようだが、これは全く無責任ではないか。

〈白石晃〉
これはあくまでもこの会議の立ち上げの理由として、共学化に向けたいろんな課題があるでしょうということがあって、これを解決、お話し合いしましょうということで作られた場である。
だからいろんな共学化に関する問題は、例えば全体スケジュールをどうするかという話は、この場でなくてもいろんなところで議論はすべきだと思う。ここだけに限定された形で議論すべきものでもないだろうというふうには思う。
当然に議会の中でも言われている。これをいつやるんだというふうなお話もされているから、それはそれとしてやはり我々は答える義務があるということでやっている。

〈安部孝〉
関連で、柴田さん。

〈柴田克彦〉
さっきから内田さんの請願書採択の条件付きのことや教育長さんの話をいろいろ聞いていて、大いに疑問に思う。
というのは、将来構想は進めるべきだと、そして3つあるんだと、ところが将来構想の中で共学化について言っているのは僅かだ。「共学化する場合は当該校と十分な話し合いをして理解を得なさい」と、「それでその後にそれは進めなさい」と、ちゃんと将来構想に書いてあるのだ。
それでも足りないから、二高は決まっちゃっているから、二高を1年という具体的例として出して、話し合っていないと思うから、議会全体でそう認めてるから、だから(話合いを)やりなさいという意味で、「矛盾」と言うけれども私は矛盾ではないと思う。だから要するに、将来構想を進めるのには議会も反対じゃない。だけど議会としては、これがこれだけもめたのは、将来構想の中の文章に、「共学化する相手とは十分に話合え」と書いてあるのに話合っていない。だから話合いをしろということは、既にそこに共学化を前提にした話合いではなくて、共学化もある程度含んで話合いなさいよということになる。
それで今日の一番最初に、私も気の毒だなと思って聞いていたが、学校長がかなりいじめられた。これも当該校関係者といろいろ話合いをしろと言ったときに、学校が、当時の学校長、2代ぐらい続いた学校長が全然話合いをしない。
話合いというのは、一方的に喋って、“こうこうしません。はい、終わりました”というのは、「報告」とはいうかも知れないけれども「説明」でも「話合い」でも何でもない。
だからそういう点について、まあ、教育長さんの返答はなくてもよいが、教育長さんも今まで教育委員会がこの問題の最終当事者であるということに少し遠慮をしていた。これも皆さんは分かる。浅野という知事が最終権力を持って、「いい、悪い、いい、悪い」と(やっていた)。その重しが一切なくなったのだ。
あの人は随分言い方が違った。最後に残ったのが単に税金の問題だけだ。だから、第4回(の会議)とか、第3回(の会議)の後半ぐらいから教育長さんが、もう共学ありきということを半分ぐらい、少し引っ込めてやってもいいよというぐらいの気持ちで、覚悟で出てきているように思う。これに対する返答はいらないが…。
今、二高と(話合いを)やっていて、今度は一高だ、一女高だとやっていく時、それはそれで同じことをまたやることになるのか。将来構想の中の共学化のところで話合って、十分な理解を得なさいとはっきり出ているのだから。
さっき、鈴木PTA会長が教育長さんに、理解が得られたか、得られていないかをイエスかノーで答えろと質問したが、私は理解はまだ全然得られていないと思うけれども、この問題をもっと突っ込んで話をする気持ちだけは何かお互いに伝わっているように思う。

〈安部孝〉
今のは意見だけれども、教育長、何か答弁はあるか。

〈白石晃〉
先程、知事の話が出たけれども、これは知事が今度の議会でも答弁しているとおり、この共学化問題についてはあくまでも教育委員会の所管である。知事の権限は当然別にいろんな形であるけれども、この共学化に関しては教育委員会が最終的に、全的に責任を持ってやるということになる。
だから、知事という機関があるにしても、教育委員会という機関との間でのいろんな形での話合いになるだろうと思う。ただ、最終的には教育委員会が判断するものというふうには理解している。

〈安部孝〉
関連になるのか?はい、山下さん。

〈山下健二〉
先程、PTAの鈴木会長、内田副会長と教育長とのやり取りの中で、理解と協力の話があった。その点について私は全く理解できないという事例を挙げたいと思う。
話はちょっと戻るが、一律共学化の理由として5つあがっている。これ以上でも以下でもないという見解だが、5つの理由のほとんどが形式論というか建前論で具体性がない。
その中でただ1つ、やや具体性があるかなと思うのは、家庭科が必履修になったから男女共学が不可避である。平成6年に家庭科が男女必修になったので、絶対男女共学化だと、男女共学は避けられないというお話だったので、私も実はこの家庭科の教科書を読んでみた。
これは仙台二高指定の家庭科の教科書だ。皆さんもお読みだと思うが、「家庭基礎21」をつぶさに読んでみた。これは「全教出版」というところから出ているもので5つの章からなっていて、この5つの章に共通して20項目の「考えてみよう」と「調べてみよう」という課題が出ている。この中に一番家庭科らしい第4章「よりよい生活をつくる」という章がある。
このほかに、「人生を拓く」とか「生命を育てる」とか「高齢社会を生きる」とか「消費生活を守る」とかいろいろある。これ(第4章)は栄養・料理・衣服、この辺の内容が最も家庭科らしい単元なので、そこから「考えてみよう」「調べてみよう」というものを摘出してみた。ちょっと読み上げてみる。
この中で男女が共に考え、学ばなければならない、調べなければ教育効果がない、あるいは逆に効果があるというもの、別学よりも共学にした方が、より教育効果なり学習効果が上がるというものがあれば、指摘して頂きたい。
①図12というものがあり、3種類の衣服を示してあるのだが、この3種類の衣服を参考にして、衣服の活動度について考えてみよう。
②日本でリサイクルが進んでいない原因を考えてみよう。また、日本の古着がアジアの国々に輸出されている理由について調べてみよう。
③アレルギー対策の新しい衣料品について調べてみよう。これは「色の変化」というのがあって、「色の変・退色」についてとか、汚染のあった衣服を手に入れて、次の項目について調べてみよう。衣服名とか、色の変化だとか、表示を全て書き出すとか、変化の原因だとか、そういうものの責任の所在を調べる。
④あなたの持っている衣服を手に入れ、アウター(上着)の全ての表示を書き出し、分類し、それぞれの意味が正しく理解できているか確かめてみよう。
⑤日本への衣服の輸出は、アジアの人達の生活にどのような影響を及ぼしているだろうか。衣服生産の実態を調べてみよう。
⑥自分に合った住まいを探すとして、一人暮らしの経験のある人に注意点、失敗談について聞いてみよう。
⑦身近な場所で危険な思いをしたり、実際に犯罪が発生したりした場所はどんなところだろうか調べてみよう。その原因を考えてみよう。
⑧図18(地震に備えようチェックリスト)を参考に我が家のチェックリストを作ってみよう。
⑨駅前の自動貸付機で30万円をキャッシングした。下の条件で返却した場合、全部でいくら返すことになるか、計算してみよう。

《条件》実質年率;27.375%、1か月を30日とする。
1か月後一括返済、6か月間かりて、毎月返済・元利均等返済。
⑩公正取引に違反する事例を集めてみよう。

このようなものが男女共学不可避なのか。私の考えでは、これらのことはどれも男子、女子それぞれ別々に考え、調べてみても何の差し支えもないと思う。
別学をあえて一律、一斉に例外なく男女共学化するというのは男女一緒に勉強することによって、それなりの教育効果がある、学習効果がある、そういうことでないと意味がない。
単に男と女を一緒にしたというだけでは、これは教育の視点も理念も何もないということだ。たまたま家庭科の必履修を男女共学の理由にしただけだ。
今、読み上げたものの中で、例えばこれとこれだけは是非男女共学にしなければ「解」が出ないとか、より効果のある結論が出ないというようなものがあれば、あげてほしい。

〈安部孝〉
黒川課長。

〈黒川利司〉
家庭科の専門ではないので、細かいところまではお答えできないかも知れないが、例えば衣生活だとか食生活だとか、住生活に止まらず、子供を育てるとか、あるいは家族生活だとか、あるいはそれから様々なことを幅広く学ぶような教科である。
そういう中で、例えば衣生活をどうしたらよいか、そして我々の着ているもの、あるいは食べ物がはどこから輸入されているかということも当然あるが、一方で、家族生活のあり方ということで、例えば家族がどのように協力して子供を育てていくか、あるいは少子高齢化なので、例えば高齢者の介護を家族達でどうやって行こうかとか、そういうことなども教科の中に含まれている。
そういう教科の中で、例えば学校によっても様々だが、男子生徒と女子生徒がお互いに意見を交換し合うとか、そういうことが自然に行われているというふうに聞いている。
そういう授業が行われている例もあるというふうに聞いている。

〈山下健二〉
実は今から1年前の平成16年8月23日付けで県教委から出た仙台二高同窓会西澤会長宛の仙台二高をなぜ共学化しなければならないかということの理由に3つあり、その2番目に(家庭科の問題が)あがっている。
これは仙台二高同窓会長宛の文書だから、仙台二高を対象にしたもので、そこに家庭科必履修が男女共学が避けがたい理由だと載っている。
今、黒川課長が仰ったのは、こういう例もありますというのは、どこかでやっているかも知れないが、仙台二高に関する限りそれは当てはまらない。もう1年も前に仙台二高にそういう回答をしているのだから、仙台二高の共学化は避け難しというのであれば、その第2項に載っている家庭科の必履修がどうして共学化されなければならないのかという検討がなされていなければならないと思う。
細かいことが分からないというのでは駄目で、もっときちんとした回答を持ってないと、その程度のレベルの物の考え方なり検討のしかたで、仙台二高を含む他の高校に対する一律共学化の不可避論を押しつけてくるのは、あまりにも浅薄な言い方ではないか。その程度の言い方だから、例えば、男女が共に学ぶことに意義があるとか、女性の受験機会を与えればそれでいいとか、そういう単なる形式主義というか形の上だけの理由でしかないと思う。だから私は、理解と協力が得られる気は全くしない。

〈安部孝〉
矢吹次長。

〈矢吹隆志〉
山下さんが仰ったことが、もしかすると男女共学の究極のところだと思っている。今、家庭科の中のいろんな題材をお話になった。私もその教科書を1回ぐらい読んでいるかも知れない。いろんな教科書があるが、さっき高校教育課程が衣食住という1つ1つの題材を男も女も同じ見方をする部分もあるかも知れないが、見方が違うのだ。犯罪のこと1つでも、食のこと、貿易のこと、輸出の話、見方、視点が違う。同じこともあるかも知れない。
それを自然な形で関わりながら、発言をしながら、ディベートをしながら、育とうというのが家庭科が共修になった最大の目的である。だから、絶対男女別にして学ぶのではない、一緒に学ぼうよというのが家庭科の性差がなくなったということだ。

〈安部孝〉
鈴木次長。

〈鈴木隆一〉
誤解があると困るので申し上げておくが、PTAに対する回答にも書いておいたが、今、家庭科が男女必修になった云々とそこを捉えているが、そこは例に挙げただけで、読んで頂くと分かるように、学習指導要領上での男女の差異がなくなったということを言いたかったのだ。

〈山下健二〉
例えば、家庭科以外に何があるのか?

〈矢吹隆志〉
全て、理科でも子供達は一人一人、全て見方が違うのだ。

〈山下健二〉
いや、理科とか数学は真理は1つだから、それは同じだと思う。それでは勉強にならないではないか。

〈鈴木隆一〉
指導要領上は、男も女も共に差がなく、それが「調べてみよう」なのだ。

〈安部孝〉
山下さん、短く。

〈山下健二〉
例えば、日本でリサイクルが進んでいる原因を考えてみよう。また、日本の古着がアジアの国々に輸出されている理由について考えてみよう。これらをとってみても、見方が違うことによって何が変わってくるのか?

〈矢吹隆志〉
生徒達がいろんな考え方を出し合って、それに対して意見を言って、そして世の中がこういうふうに動いていることが分かったり、女性の見方がある、男性の見方がある、そこが自然の中でいろんな刺激合いをしながら、同じ考えの者もあり、いろんな見方を、自然の形でというのが…、

〈安部孝〉
次長、分かった。もう8時5分前になった。この議論を続けるとまた相当なことにもなるし、資料を多分見ていないところもあるので、それでお諮りしたいのだが、今日はPTA関係者で意見交換をしたい、自分の意見を述べたいという方がいらっしゃると思うので、その時間をお一人5分ぐらいで…、山下さんの問題は次の協議事項ということにして、じゃあ、門脇さんからご意見をどうぞ。

〈門脇美代〉
私は転勤族である。今もうちの主人は単身赴任しており仙台にはいない。ここ仙台市は東北の拠点として、毎年多くの転勤族が転居してくる。私の家族も転勤族で、今年の春、兄が二高を卒業した。その長男の高校進学時、東京で単身赴任している主人と本当に話をし、ホームページを開いたりして、どこの高校に進むべきかということを考えた。そして家族で住んだことのない仙台へ引っ越すことを決めた。それは都市規模だけでなく、共学校、別学校を選択できる教育都市だったからだ。人生の中で重要な高校時代の3年間をどんな教育の場で過ごすのか、成長できるのか、今ある共学校、別学校、それぞれ素晴らしい伝統と文化を築き、誇りに思っている卒業生、在校生がいる。
この一律共学化は今、別学にいる在校生や今後、共学校、別学校を選択する、またできるはずの子供達にとって本当によい決定なのだろうか。
今すべきことは、学区制の見直しと学力向上対策ではないだろうか。女子高の素晴らしさ、男子高の誇り、納得のいく対応をしてほしいと思っている。

〈安部孝〉
じゃあ、次は吉村さん。

〈吉村瞳〉
うちの娘は、実は上の子も女子高に通っており、息子は今、二高にお世話になっている。私自身は他県で共学だったけれども、高校を選択するときは子供達の意見として別学女子高であり、男子高でありという選択をしたいという子供の意思で、受験させて今現在、上の子は高校を卒業したけれども、下の子はこちらにお世話になっている。
やはり今、仰ったように選択の自由というものを残してほしいと思う。息子に今日、(調整会議に)行くんだよと話したら、「お母さん、どうして二高からなったの?」と息子自身も言っていた。
母校に誇りを感じているようで、実家の方にもすごく喜んで電話をかけて、「僕、二高に行ったんだ。応援団があって、こうこうで…、山登りがあって辛いけれども頑張るよ」って、すごく誇りに思っている。
「共学化ということになると、結局学校って変っちゃうの?」というのが子供の素朴な疑問だ。私は「変わらないとは思うけどね」としか言えなくて、今回こういう会議に参加させて頂いてお話を聞いてたら、ん?、もっと前から参加すればよかったなというふうに思った。
子供から「お母さん、共学化になるんだって」と聞いたとき、県教委の方に電話で意見を言わせてもらったことがあるが、やはり一律共学化というのではくて、選択肢も残してほしいと思う。
これは人間が決めたことなのだから、やはり状況を見て、皆さんともっと議論をして、変えられるものなら変えてほしいと思う。

〈安部孝〉
次は高濱さん。

〈高濱まなみ〉
先程、校長先生から二高のよい点について、沢山あげて頂いたけれども、現在、二高にいる高二の息子は伝統ある男子高である二高を選んで入学した。二高がこのままであることを望んでいるし、卒業した後でもこの良さを残してほしいと思っている。
私もやはり女子高を出ているが、別学校の良さというものをよく知っているので、このまま残しておいてほしいと思っている。現在、宮城県には共学校があり、そして男子高、女子高がある。
これから入学する子供達にとってもこの選択肢があるということは、すごくよいことだと私は思う。他県が行っているからただ単に共学するということではなくて、宮城県という地域性も考えて頂きたいと思う。
良さというものは、わざわざほかを真似するのではなく、残した方がよいのではないかと思っている。また、宮城県の財政状況が年々厳しくなっているようだが、それにもかかわらず、多額の予算を必要とする一律共学化というものを今、無理に行うべきことなのかということをすごく疑問に思う。
今、なぜ現状を変えなければいけないのか理解できない。以前、鈴木次長が、もう決まったことで時計の針を戻せないということを仰っていたけれど、確かに過ぎた時は戻らないと思う。でも、政策を決めたときと今の状況は変わってきていると思う。三本木町の福祉施設の計画が変わったという前例もあり、一旦決めた計画も是非いろいろ考えて頂きたいというふうに思っている。
このまま無理矢理共学化を進めて伝統ある別学校をなくすならば、宮城県の教育行政というのは、歴史に残る大きな汚点を残すことにならないかなとちょっと心配している。

〈安部孝〉
意見ということで承っておく。

〈佐藤茂〉
1つだけ校長さんに質問したいのだがよろしいか、30秒で申し上げる。

〈安部孝〉
じゃあ、15秒で…。

〈佐藤茂〉
校長先生に質問申し上げる。さっき、二高の将来ビジョンについて最後にこう仰った。「一女高の上層部が二高にくるから二高の学力水準、進学水準が上がる」と。
学力アップを図りたい。要するに女の子を入れないと学力向上の教育ができないと、こういうことか?

〈安部孝〉
はい、じゃあ、お答えをお願いする。

〈柏葉浩明〉
先程のお話しの中で、一女高っていうようなお話をあげたつもりはない。

〈佐藤茂〉
一女高って、言ってたではないか?

〈安部孝〉
8時になったので、第5回の調整会議は終了したい。今日の積み残し等は多々あるかと思うので、ご協議頂いて次のステージでやって頂きたい。
次回の第6回の調整会議の日程だが、11月になるかと思う。第1週か第2週辺りということで調整をして頂きたいと思うので、関係者の皆さんでその時期がいつ頃よいのかお話して頂きたい。
ここで出席者一同で協議の結果、11月7日(月)ということになった

〈安部孝〉
それでは、次回の調整会議は、11月7日(月)の18時からとする。

〈浜田毅〉
場所はあとで相談させてほしい。

〈一同〉
了解。
以上