2006年4月1日
1.開催日時
平成17年5月30日(月)15時~17時
2.開催場所
県庁行政庁舎9階第1会議室
3.出席者(敬称略)
《宮城県議会議員》
文教警察委員会委員長/安部孝(司会兼立会人)
《宮城県教育庁関係者》
(文中では「県教委」)
教育長/白石晃
教育次長
鈴木隆一、矢吹隆志
高校教育課長
黒川利司
同課長補佐
浜田毅
改革推進班長/中川昭三(進行役)
同主幹
狩野宏史
高橋真由美
《宮城県仙台第二高等学校関係者》
(文中では「二高」)
校長/柏葉浩明
教頭/渡辺尚人
副参事兼事務室長/平川弘二
《宮城県の別学を守る仙台二高親の会関係者》
(文中では「親の会」)
会長/鈴木密明
副会長/内田正之
会員/高橋幸子、松枝恵子、大庭文美
《宮城県仙台第二高等学校同窓会》
(文中では「同窓会」)
4.議事要旨
〈発言者の敬称は省略〉
〈中川昭三〉
はじめに県議会文教警察委員会安部孝委員長からご挨拶を頂きたい。
〈安部孝〉
お忙しいところご参集頂いた皆さんに感謝したい。
以前、教育庁関係者と「共学化凍結請願書連名連絡会」関係者との話合いに立ち会った縁で、今日の第1回目のこの会議に立ち会うことになった。
昨年10月、「県立高校将来構想の見直し」等に関する請願を議会に預かり、今年2月16日、本会議において附帯意見を付して一部採択となった。
今回のこの会議は、県議会の示した附帯意見に沿ったものと聞いている。
また、仙台二高の平成19年度からの円滑な共学化に向けた話合いの場であるとも聞いているし、理解もしている。
今日集まった皆さんの考えや見解が必ずしも同じというわけではないと思うので、良識と節度のある意見交換を行って頂き、この会議が実りある話合いの場になることを期待したい。
また、本日は全面公開ということであり、傍聴者・マスコミ関係者には、円滑な議事運営が図られるよう協力をお願いしたい。
今回は初めてでもあり、時間も限られているので、指名しながら進めて行きたい。
〈中川昭三〉
安部委員長には、本日の立会人並びに議事の司会役をお願いしている。
まず、同窓会側から本日の出席者の紹介をお願いしたい。
〈高橋正道〉
今日は第1回の調整会議だが、これから1年間、月1回のペースで開催することになるのでよろしくお願いしたい。
同窓会副会長の私から本日の出席者を紹介する。
高橋氏より、同窓会側のメンバー5名の氏名を紹介
〈中川昭三〉
続いて、「親の会」の出席者の紹介をお願いしたい。
〈鈴木密明〉
仙台二高保護者有志である「親の会」会長の私から、本日出席の5名を紹介する。
鈴木氏より、親の会のメンバー5名の氏名を紹介
〈中川昭三〉
仙台二高の出席者の紹介を願いたい。
〈柏葉浩明〉
二高校長の私から本日の出席者を紹介する。
柏葉氏より、仙台二高のメンバー3名の氏名を紹介
〈中川昭三〉
最後に県教育庁関係者の紹介をお願いしたい。
高校教育課課長補佐浜田毅氏より、教育庁関係者8名の氏名を紹介
〈中川昭三〉
早速議事に入る。冒頭申し上げたとおり、司会は安部委員長にお願いしたい。
〈安部孝〉
先ずはじめに、この会議の目的、次に共学化凍結請願についての議会の議決状況、教育庁の対応等について説明を願いたい。
その後、それらについての意見交換や質疑応答等を交えて進めたい。
それでは最初に、事務局からこの会議についての説明をお願いしたい。
〈浜田毅〉
本日配布してある「第1回仙台二高共学化調整会議(資料)」の1頁をお開き頂きたい。
「(仮称)仙台二高共学化調整会議」(案)となっている。
この資料は、今年の4月28日、同窓会及び親の会の皆さんが県教委に来られたときに示したものである。
この会議の趣旨、話合うべき内容、参集範囲、形態、事前協議、事務局についての「案」ということで説明させて頂く。
1.趣旨
先程の安部文教警察委員長のお話の通り、本年2月16日、県議会から示された請願に対する附帯意見付きの一部採択を踏まえて、附帯意見の「三」に沿った内容にしたい。
即ち、仙台二高の円滑な共学化の推進方策や共学化後の仙台二高の在り方等について検討するため、二高関係者(同窓会及び親の会)と二高、県教委とで話合う。
2.話合うべき内容
この資料では、「テーマ(案)」として掲げてある4項目である。
(1)「共学化凍結請願」に対する県議会議決状況及び県教委対応状況について
(2)仙台二高共学化の基本的な考え方について
・高校配置の在り方及び仙台二高の在り方
・仙台二高の共学化による周囲への影響
・仙台二高の目指すべき方向
(3)仙台二高共学化に伴う課題及び課題への対応について
・校名、教育目標、校歌、校章など
・教育内容、教職員、学校行事、部活動、施設設備、その他
(4)とりまとめ
3.参集範囲
仙台二高関係者(同窓会及び保護者有志)が10名程度、県教委及び二高で約10名を考ている。
また、立会人として、今回は安部委員長にお願いしたが、今後も必要に応じて、立会人の出席を求める考えだ。
参集範囲については、話し合いの内容によって調整させて頂きたい。
4.会議の形態
開催は1ヵ月に1回程度、年間(平成17年度内)10回くらいやれればよいと考えている。
毎回、話合いのテーマを設定し、各回2時間程度の話合いとしたい。
開催場所は基本的には県庁会議室とし、マスコミ公開とする。
5.事前協議
本来ならば、例えば、毎週第3金曜日の午後3時からというように決めればよいのだが、こちら側の都合で、そのような定期的開催は難しいので、毎回1回程度の調整をさせて頂きたい。
6.事務局
高校教育課改革推進班が担当する。
〈安部孝〉
調整会議についてのご意見や質問があればどうぞ。それでは、高橋さんから。
〈高橋正道〉
只今ご説明のあった「(仮称)仙台二高共学化調整会議(案)」は、事前打合せの際にも示され、既に拝見している。
事前打合せの折に同窓会側から出したテーマが2つある。
1、県議会の請願採択内容の解釈
2、仙台二高共学化先行実施の理由
である。
これら2つのテーマについては、機会ある毎に当方から質問しているが、それらについての明確な「答え」を未だにもらっていない。
二高についての調整会議ということであれば、これらのテーマを避けて通ることができないということを先ず最初に申し上げておきたい。
一方、親の会からは、主に次の2点について疑問が出ていると聞いている。
1.共学化実施の根拠についての納得が得られていない。
2.「ゆとり教育の見直し」等がいわれている中で、宮城県の学力は全国比で非常に低い位置にあり、このことが県の「県立高校将来構想」との関係でどのようになっていくのか。
これらのことが、これからの会議の中のいろいろな場面でのテーマとして出てくると思われる。
最初に、この会議の「名称」についての提案がある。我々は広く共学問題についての話合いをしたいので、「仙台二高共学問題調整会議」と改称をお願いしたい。
それから、我々は仕事を持っており、今日のメンバーもそれぞれの仕事を調整しながら出席しているので、今後の会場、開催日、開始時刻等については、事前打合せの中で、柔軟に対応して頂くようお願いしておきたい。
また、この会議については、正式な議事録を作り、それを保存しておくことが必要だと思うので、その点についてもお願いしたい。話合いに入る前に、これらの件について要望しておきたい。
〈安部孝〉
「会議の名称」「会議の形態」「議事録作成」の3つの要望が出されたが、教育長から、今日の段階で回答ができるものがあればお願いしたい。
〈安部孝〉
只今頂いた要望のうち、日時等の調整や要点筆記になると思うが、「議事録」作成について異存はない。
「会議の名称」が最大の問題だ。「共学化問題」とするか、「共学問題」とするかは、おそらく議会の請願採択の解釈の問題になると思う。
県教委としては、仙台二高を平成19年度に共学化するという前提があるので、「共学化調整会議」という用語を使った。
一方、「共学問題」ということになれば、「19年度共学化実施」の方向性が見えなくなり、請願採択の解釈が違ってくるのではないかという感じがする。
これは私の個人的な意見なので、教育庁内でも検討させて頂きたい。
〈安部孝〉
以上のような回答だが、それでよいか。
〈高橋正道〉
結構だ。
〈安部孝〉
「会議の名称」についてはペンディングになるが、庁内で検討して頂きたい。
これで最初の議題については終了する。
続いて、「テーマ(案)」の(1)「請願に対する県議会議決状況及び県教委の対応状況」について事務局から説明願いたい。
〈浜田毅〉
先程の資料.2頁をお開き願いたい。
これが、「県立高校将来構想の見直し」に関する請願書であり、2頁、3頁、4頁と続いている。この請願が出されたのは、昨年の10月で、県議会では文教警察委員会に付託され、主に同委員会で審議された。
3頁の「請願の要旨」には、次のように書かれている。
『関係者の充分な理解が得られないままに進められている「県立高校将来構想」の見直しを請願いたします。
特に、仙台第二高等学校の平成18年度共学化を当分の間凍結し、地域の特性を生かした今後の県立高校の在り方について十分な議論を尽くし、関係者の理解と協力を得ながら進めることを請願いたします。』
請願の要旨は、「県立高校将来構想の見直し」と「仙台二高に限定した中身」の2つの内容からなっている。
この請願は、文教警察委員会での審査を経て、2月16日の定例会にかけられた(資料.5,6,7頁の定例会議事録参照)。
6頁の9行目には、「本請願について、本委員会(文教警察委員会)では、平成16年10月8日に紹介議員や請願者の代表者からの意見聴取」とあり、これは多分請願団体からの意見の聴取ということであろう。この10月8日には、県教委も意見聴取ということで説明を求められている。
また、平成16年12月14日には、共学化を進める立場の方々を参考人として招致し、意見を聴いている。
さらに、文教警察委員会は、平成16年11月16日に、平成15年度に全ての県立高校の共学化を完了した福島県と平成13年度に共学化を実施した福島県立安積黎明高等学校を調査、共学化にいたる状況等の説明を受け、積極的に共学化に関する意見交換を実施したこと及び同委員会では、4回にわたる委員間協議を実施したことなども述べられている。
9頁の最終行後段には、「県立高校将来構想は、学力低下や学区制等の問題に配慮しつつ、共学化の将来像等を明確にして着実に推進すべきこと。また、仙台第二高等学校の共学化は、期限をつけて凍結し、その間に関係者間で十分に話合いをすること」などについて、委員間で合意が得られた」とある。
そして、1月21日の文教警察委員会において附帯意見付きの上、一部採択された。結局、2つの「請願の要旨」(資料.3頁参照)のうち、後段部分「仙台第二高等学校の平成18年度共学化を当分の間凍結し、地域の特性を生かした今後の県立高校の在り方について十分な議論を尽くし、関係者の理解と協力を得ながら進めること」を次の附帯意見を付して採択すべきものと決したということである。
この附帯意見は、次の通りである。
1.県立高校の共学化は、全体スケジュール及び将来像を明確に示し、推進されたい。
2.学力低下、学区制等の諸問題についても配慮されたい。
3.仙台第二高等学校の共学化は、1年延長し、その間、関係者と充分な話し合いをされたい。
これが議会で議決された「附帯意見付き・一部採択」の中身である。
次に、これを受けての県教委の対応について述べる。
県議会での議決を受けた後、宮城県教育委員会(以下、「県教育委員会」と略称)を2度開催し、その対応を協議した結果について、県内各市町村教育委員会教育長宛に出した県教委の通知文が、「宮城県仙台第二高等学校の共学化について(通知)」(資料.8~9頁参照)である。
県教育委員会(2月21日及び2月25日開催)での協議・検討テーマは次の通りである。
1.県議会本会議で示された請願一部採択の詳細について
2.仙台二高の共学化を予定通り(平成18年度)実施した場合と1年延長し、平成19年度から実施した場合の今後予想される事態や影響について特に、1年延長した場合、平成16年度時点で、既に進路選択段階にある中学2年生の女子への影響、仙台二高共学化後の学校づくりを見通した生徒、保護者、同窓会等の関係への影響、さらには県立高校将来構想の着実な推進に対する影響、他方、県民を代表する県議会の議決結果を考慮すべき必要性についても協議検討がなされた。
その結果、今後の仙台二高の円滑な共学化を図るためには、同校共学化後の学校の在り方について、同窓会関係者との話合いが必要であり、また、県民の意見を代表する県議会における議決結果も考慮し、留意事項(※)を付して、仙台二高の共学化を1年延長し、平成19年度からの共学化を決定した。
(※)留意事項
1.仙台第二高等学校の共学化を1年延長することで、一番影響を受ける中学2年生の女子生徒及び保護者の方々に対して、仙台第二高等学校の共学化の1年延長について、速やかに周知するとともに、経緯等を説明し、理解を得るよう最大限努めること。
2.仙台第二高等学校の円滑な共学化を図る観点から、共学化後のよりよい学校づくりを目指すため、速やかに仙台第二高等学校の同窓会、保護者等と真摯に話し合う必要があること。
3.仙台第二高等学校の共学化を1年延長し、平成19年度からとすることは、やむを得ないが、これ以降の延長は、将来高校進学を目指す児童・生徒の進路決定に不安を残すとともに、教育現場にも混乱をもたらすことにもなることから、決してすべきではないこと。
これに基づき、県教委は3月1日付の文書で、県内全ての市町村教育委員会に通知するとともに、中部北地区の市町村教育委員会を訪問し、方針変更あるいは経緯等を説明した。
また、仙台二高校自体としては、3月3日~4日にかけて、中部北地区の主に仙台二高への進学者を出している主要な中学校を訪問し、共学開始時期の1年延長を、あるいはその経緯を説明した。
以上が県議会の請願に対する議決への県教委としての対応状況である。
〈安部孝〉
只今の説明についての質問を高橋正道氏からお受けする。
〈高橋正道〉
只今の県教委の説明の中に、我々がこの会議の名称にこだわる理由がある。即ち、県教委は議会の議決及び県教育委員会の審議を経て、既に共学化を決定したという前提での話をしているが、我々は県議会や県教育委員会が凍結を1年延長したのは、これまでの県教委の説明が十分でないし、理解も納得も得られていない部分を1年間という時間を有効に使っ理解・納得を得るようにという趣旨で決定したものと考えている。
この問題が、2年近くにもわたってもめている原因は、県教委が最初の段階で、経緯等の説明を十分にしていなかったことにある。従って、県教委の説明が十分でないということに触れずに我々はこの会議を先に進めるわけには行かない。
県教委側の会議の名称は共学化を前提にしたものであるが、我々は、共学問題―決して共学そのものに反対しているわけではないが―即ち、共学・別学のそれぞれの良さを大いに議論して、その中で宮城県の教育施策としてよい方向を見つけていくということを前提にすべきだと考えている。
我々は最初の段階からそのような話合いをしたいと言い続けてきて、これでようやく2回目(20頁の注参照)の話合いまでこぎつけたわけだが、県教委側はこの間、そのような話合いの必要はないというような態度をとり続けていたのに、議会や県教育委員会の指示でやっと「調整会議」を提案してきたことに対して我々は大きな疑念を持っている。
我々は議会の議決や県教育委員会の審議の中身については尊重しているし、時間を掛けて討議して頂いたことに対しても心から感謝をしている。
ただ、我々が最初から主張している「この1年間」の解釈について、議会の議決や県教育委員会の審議がなされた内容をもって、“ハイ、分かりました。それで結構です”というわけには行かない。
我々は、この1年間で話合いを十分に重ねた上で、納得して行きたいという気持ちで、この会議に臨んでいる。この話合いの必要性について、最初にきちんとしておかないとこの会議を何回重ねても常にこの問題に戻ってしまいかねない。
両者には議会での議決あるいは県教育委員会の審議内容などについて、解釈の違いがかなりあるように思う。
この件は、今までの話合いでは平行線になっているが、この会議の時間を無駄に使うわけにはいかないので、お互いの立場や考え方を理解した上で、前に進むことが必要ではないかという提案をしておきたい。
〈安部孝〉
今のことに絡めて「親の会」で何かご意見があれば述べて頂き、教育長にはそれらを合わせた答えをお願いしたい。
〈鈴木密明〉
県教委側と同窓会を含めた我々との間にはスタンスの違いがあるのではないかと思う。そのあたりを明確にしないといつまでたっても平行線で無駄なことになってしまう。
それと、県立高校将来構想の第5章に「男女共学化の推進については、対象校毎に関係者の理解を得ながら進めていく」ということになっているので、このことをきちんとやっていくことが必要ではないかと思うが、このことについて県教委はどのように考えているのか、このあたりのこともしっかりさせておかないと議論が全然かみ合わず時間の無駄になってしまう。
この件についてはもう一度きちんと確認したい。
〈安部孝〉
内田さん、どうぞ。
〈内田正之〉
「請願の採択された部分」と「請願の要旨」、そして「附帯意見」の関係をどのように考えているのか、つまり、採択された要旨には、「仙台二高の平成18年度共学化を当分の間凍結し」となっており、一方、附帯意見3では「仙台二高の共学化は1年延長し」となっている。
この両者の関係をどのように考えているのか、県教委に伺いたい。
また、附帯意見の1,2,3項は相関連するものだから、それらを同時並行的に進めなければならないのか、それとも1、2項が十分に進まなくとも3項だけ進めばよいと考えるのか、または1,2,3項はそれぞれ個別に独立したものと考えるのかという点についても確認したい。
〈安部孝〉
ひとわたり、二高関係者から質問が出たので、教育長から回答をお願いする。
〈白石晃〉
平成13年度に作った「将来構想」により、二高の共学化を平成18年度に実施することで我々は作業をやってきた。最終的には請願が出て、議会では附帯意見をつけて1年延長せよとの話になった。また県教委育委員会でも、留意事項にあるように、共学化を1年延長して平成19年度からの実施ということになったわけで、これらのことを考え合わせると、議会の意見もまた同様であろうと考えている。
一方、附帯意見に関係者のと十分な話合いをされたいと書いてあることは、話合いがまだまだ不十分だとの認識を示されたのだと思うし、また「将来構想」の中にも、学校関係者の理解を得るようにしなさいとも書いてあるので、そういった趣旨を受けながら、我々としても十分な意見のやりとりをしたいと考えている。
それから、「どうして二高だけが…」というお話があったが、共学化を打ち出すための要件が2つある。
1つは、学校内での共学化に関する検討が進んでいること、2つ目は方向を示すに当たっての予算措置が十分にとられているかどうかということである。
この2点がクリアされたとき、初めて共学化をやるということにしてある。
共学化にはいろんなやり方があり、学校を統合する際に共学化する方法、あるいは単独で共学化する方法等いろいろあるが、二高の場合は単独で共学化することで話してある。
例えば、一高、一女、二女等のまだ共学化の時期を発表していない学校は、先程言った要件自体がまだ整っていないが、二高はこのような要件をクリアしたので、平成18年度から共学化を実施するということで発表した。
〈高橋正道〉
一つずつ質問して行きたい。
〈安部孝〉
じゃあ、高橋さん。
〈高橋正道〉
今の話の中で、十分説明したつもりだとのことだが、我々としては一貫して主張しているが、十分だとは全く思っていない。これは県教委からもらった資料でも十分だとはいえないと思う。
特に二高に関しては、この点について非常に疑念がある。説明不十分ということに対してどのように考えているか。
〈安部孝〉
教育長、どうぞ。
〈白石晃〉
不十分かどうかという部分についてだが、これは議会でも説明したことだが、「何月何日、誰々に、どういう説明をした」ということを時系列的にまとめてある。
回数自体も1回、2回というレベルではない。これは同窓会やPTAに対しても、説明した経緯がある。
これは「評価」の問題ではあるが、我々としては一応話合いはしているつもりだ。
〈高橋正道〉
今回、我々の要請を受け入れて「調整会議」を開いたのは、県議会や県教育委員会の指摘があったからなのか、それとも今までの経過の中で説明不十分な部分があったからなのか。
〈白石晃〉
それは附帯意見の第3項が直接的な契機だ。
〈高橋正道〉
そうすると、今回の県議会や県教育委員会の指摘によってこの会議が開かれたということになるが、これまでは十分な話合いをしてきたという見解か。
〈白石晃〉
再三言っているように、我々は何回やれば十分だとか、何回やらなければ不十分だとかというようには思っていない。
我々が進めてきた事務運営に対して、1年延長しその間に十分な話合いをするようにとの意見が出ているので、それを真摯に受け止めて話合いをするということにしたものだ。
〈高橋正道〉
この問題は議会でも大変な時間を割き、また県教育委員会は2度も会議を開いたということは、県教委は十分だと思っていても、他の人々は十分ではないと思っている部分があると思われるが、その点についてはどうか。
〈白石晃〉
同じような話になるが、附帯意見では「十分な話合いをするように」となっており、議会がそのような解釈をしたので、それを真摯に受け止めて話合いをするということだ。
〈高橋正道〉
それでは、説明不足だったという議会の指摘を認めるということか。
〈白石晃〉
認めるとか認めないとかの話ではなく、共学化を1年延長して19年度からにし、1年延長する際には十分な話合いをせよということなので話合いをするということだ。
〈高橋正道〉
この問題で我々はあまり時間を浪費したくないが、これは非常に大事な問題だ。
話合いについての県教委のそのような姿勢がこのように問題にしなければならない原因を作っているのだ。
議会や県教育委員会が話合いをせよと言っていること、また同窓会への説明とはいつのことを指しているのかが明確でないこと、さらには校長が同窓会に挨拶に来た折りに、「共学問題が出ていますよ」と言った程度の話をもって、県教委は説明したと解釈しているようだが、その点について我々としては理解できない。
行政の大事な立場にいる人々の判断としては非常に安易ではないかと思う。
〈朝倉亮〉
関連して、教育長に伺いたい。「説明が十分であったかどうか」は認識の問題だと教育長は発言されたが、議会に提出した県教委側の資料を見る限り、説明は全く不十分だ。例えば、「仙台二高の共学化に関する経緯」というところには、「平成15年3月20日、仙台二高で共学化を盛り込んだ中期総合ビジョンを決定した」としか書いてないが、これは説明ではない。
また、「5月2日、校長から同窓会三役会で中期ビジョンを共学化も盛り込んで説明」とあるが、これも「ビジョン」説明のついでにちらっと共学化について話をしたという程度に過ぎない。
先程、高橋副会長が言ったように、いつ、どこで、どうやったのか、何を話したのかなどについて何も書いていない、これが県教委から文警委員会に提出された資料の内容だ。
さらに、「5月23日、校長から同窓会三役会で共学化開始年度の発表が近々ある旨を説明する」とある。
この「近々ある旨を説明する」ということが、「十分説明した」と認知されるような説明にあたるのかどうか?
続いて、「6月16日、校長が同窓会会長に対し、中期総合ビジョン等について説明する」「7月17日、校長から学校関係の主要役員に対して共学化の発表日を連絡する」とあり、それで7月18日に突然、河北新報で発表になった。
私は同窓会の常任委員という役員の一人であるが、その説明の場所にはいなかったのでどんな説明がなされたのか詳しくは分からないが、県教委の資料を客観的に見る限りでは十分な説明とはいえないと思う。議会で附帯意見「第3項」がついたのは当然だ。
従って、共学化を19年度からやるかどうかという前に、十分に説明したかどうかという話になる。十分な説明がなされていないとなれば、今後問題がどういう方向に発展するか分からないと私は思う。
それからもう一つある。それは、県議会が19年度から直ちに共学化を実施しなさいと言っているわけではないというのが私の解釈だ。議会は共学化の開始時期については何も言っていない。ただ、18年度をかけて十分に話し合いなさいよということを言っているだけである。
共学化の開始は19年度に決定したと県教委は言っているが、これは議会が決定したのではなく、県教育委員会が決定したのだ。県教育委員会は全面公開だが、私らの意見を反映させる何ものもない状況だった。私も傍聴したが、教育委員と教育長が話合って最終的に決めただけの話だ。県議会では、最低限度の私達の弁明なり、意見陳述をする機会があったが、県教育委員会の会合では、意見の開陳や陳述をする機会は私達には与えれていなかったという、2点を指摘しておきたい。
〈安部孝〉
「話合い」の認識について、教育長の方で答弁があればお願いしたい。
〈白石晃〉
結局、認識の「度合い」に落ち着くのだと思う。それから「同窓会への説明」の件は朝倉さんの言う通りかも知れないが、我々は時系列的に淡々と事実を書いただけだ。
また、全ての学校を共学化することは既に平成13年度に決定されているので、我々としては共学化をいつからやるかという部分の議論だけが残されていると理解している。
もう一つ、意見陳述の話だが、19年度共学化の開始を決定するまでに県教育委員会を2回やっており、いずれもオープンにしている。
傍聴されたなら分かると思うが、特に2回目の会合では各委員からかなりの議論が出て、委員間では真剣な議論がなされたと思っている。
〈安部孝〉
「話合い」についての認識の点で食い違いが残っているように思われる。
多分、この点について両者がピッタリ一致するという感じには行かないのではないか。
今日は初めての会議でもあり、残された時間もあと1時間ぐらいしかないので、この話合いを進めて行くに当たって何が一体大事なのかということを、網羅的に出して頂いた方が、2回目の会議での焦点が絞りやすくなると思う。
そこで、別な観点からこういう点はどうなんだということがあれば、二高関係者から質問をお願いしたい。
〈高橋正道〉
今までの話に関連することで1つだけ…、平成15年12月10日付けの県教委から二高関係者への確認書類で、「平成15年7月18日の共学化開始年度の発表前に県教育長から仙台二高同窓会執行部に対する説明を行ったことはない」旨の資料をもらっている。先程から「説明した、説明した」と言っているが、説明はされていないということを書類上でももらっていることを申し添えておきたい。
〈白石晃〉
今、その書類については分からないので、後刻確認させて欲しい。
〈高橋正道〉
平成15年3月に二高の校長から教育長に「中期総合ビジョン」が上がっていったようだが、我々がそのことを聞いたのは5月になってからで、勿論その討論にも審議の過程にも同窓会は入っていなかったし、当然のことながら何の説明もなかったことも合わせて申し上げておく。それから解釈の問題がもう1つある。「共学化凍結請願」は9グループとして提出し、それを議会が採択したわけだから、9グループとして関係している部分(附帯意見の1,2項)について、9グループと話合いをするように何度か県教委に要望してきた。
しかし、県教委側は請願は既に終わっている、採択が出たんだからもう関係ないという話だが、なぜそのようにいえるのか我々としては理解できないので説明して欲しい。
〈安部孝〉
教育長、説明をお願いする。
〈白石晃〉
この件についてはお互いに随分前から議論してきた。請願書連名連絡会の9団体は、あくまでも請願を出す主体であり、この請願に対して県議会は既に回答を示している。
請願はあくまで対県議会との関係ということになるので、そういう意味では完結していると考えている。
請願書連名連絡会は、あくまで請願に関しての話合いの対象だと考えているので、請願に一応のケリがついたということであれば、そことの話合いは必要ないということだ。
〈高橋正道〉
附帯意見の「3」は仙台二高の問題だが、「1」と「2」は各グループと関係があるのに話合いの必要がないというのは全く理解できない。
現在、県立高校のうち8校の共学化の日程が未発表である。県議会は附帯意見の第1項で、そのスケジュールと明確な考え方を出しなさいと言っているのに、採択されてから一体何ヶ月経っていると思っているのか。その答が未だに全く出ていない。我々は話合いのためにここに出てきたのだから、それを踏まえた話合いが本来のあり方だと思う。
〈白石晃〉
全体スケジュールと県立高校の将来像については、共学化開始に当たっての要件があり、これをクリアしなければならない。現在、各校の要件をクリアできるかどうかについての作業をやっている最中だ。
〈安部孝〉
そのテーマに関連して、佐藤さんどうぞ。
〈佐藤茂〉
そもそも9つの請願団体が「将来構想」や「一律共学化」という名の強制的な共学化について異議を申し立てており、それは民意でもあるのだから、それに対してはきちんとした説明責任があると思う。
今までいろいろなところで説明したことを時系列的に並べたとのことだが、ただ喋るのであればそれは誰でもできることであり、壁に向かってお経を唱えているのと同じことだ。
ましてや相手がこれまで陰に陽に学校を支えてきた人々(学校関係者)である以上、十分な理解が得られるところまでの説明をして、初めて説明責任を果たしたことになると思う。
「説明」と「説明責任」とをどのように考えているのか、説明責任を本当に果たしているのかについてその考えを聞かせて欲しい。
〈白石晃〉
「説明」と「説明責任」との関係ということだが、我々は行政を担当しているわけだから、「案」をだし、その案をいろいろなところにかけて了解をもらった上でやるというのが仕事の筋だ。
それで、先程から言っているようにPTAや同窓会に対してもいろいろ説明してきた。
〈佐藤茂〉
説明しているとは思えない。
〈白石晃〉
それは議論がまたもとに戻るだけだ。
〈高橋正道〉
説明していないものを、説明しているというのはおかしい。
〈白石晃〉
それは「認識」の問題じゃないかということだ。
〈佐藤茂〉
それは「認識」ではなく、逆に「誤解」ではないか。
〈白石晃〉
我々としては行政手続き面での必要もあるので、それはきっちりとやって行かなければならないと思っている。
また議会との関係もあり、議会との話合いも尊重しなければならないことから、その面では説明責任は果たしていると理解している。
〈内田正之〉
関連発言はよいか。
〈安部孝〉
内田さん、どうぞ。
〈内田正之〉
附帯意見の1項から3項までに関連することだが、平成22年度までの一律共学化は各高校現場からの要望の積み上げで県教委が決めたのではなく、有識者会議等の意見を聴いた上で教育長自らが、いわばトップの意見として決めたことだと思う。
先程教育長が、共学化するには現場で要件がクリアできるかどうかという話をされたが、22年度までに一律共学化するのであれば、そういう決定を自分でしておきながら、その要件がクリアできるかどうかを現場に任せるという態度は極めて無責任ではないかと思う。
それから予算措置がどうなるか分からないのに、最終的に平成22年度までに全部共学化するというのももう1つ理解できない点だ。
県の「将来構想」という政策決定をしたスタンスに立って考えた場合、県は「あなたの高校についてはこういう形で共学化したいが、それについて現場では何か障害となる点はないか」あるいは「部活その他の面で施設整備等について何か問題点はないか」など、こういったことをむしろ教育長から現場の方に投げかけてスケジューリングして行かないとこれは到底実現できない話だと思う。
教育長や県教委が、平成19年度には共学化するという固い決意を持っているということは我々にも伝わってきている。
決して共学化に賛成しているわけではないが、仮にそうなった場合、現場ではどういう面がどういうことになっていくのか、PTA役員を務めている身であれば当然校長先生や教頭先生と話合って行かなければならない。
ところが、教育庁からは特に具体的にこれこれこういうことを、こういう形でやるんだということではなくて、むしろ学校現場ではどうなんだ、現場の方でスケジューリングしてくれというような話がくるということも聞いている。
これは単に二高の共学化だけの問題であれば現場からの積み上げ方式というのでもよいのかも知れないが、「将来構想」という県の施策に伴った一律共学化をするのであれば、現場からの声を待って予算との兼ね合いも見ながら共学化を進めていくという姿勢が必要ではないか。
しかも請願が採択されてからもう数ヶ月も経つのに、他の8校のスケジュールすら決まっていないのは、政策を決定した立場としては無責任な態度ではないかと思うがこの辺についての考え方を聞かせて欲しい。
〈安部孝〉
全体スケジュールや現場の状況について教育長から答弁を願いたい。
〈白石晃〉
最初の将来基本構想は、あくまで将来の高校をどうするのかという議論から始まっており、その1つの枝として共学化がでてきたのだ。
そこで平成22年度までに全部共学化をするとした場合に、例えば、一高にはどういう問題があるのか、二女高はどうなのかといったことについて県教委と学校間のやりとりは当然やっている。その上で、学校側から出てきた問題について、それをクリアしなければならないということであれば、県教委としてできることは全てクリアするよう努力するということになる。
それから、予算面にしても、現在の厳しい財政状況の中でどこまでやれるかということなども全てカウントしながら開始年度を押し込めて行くというやり方をしている。これらのことはやはり時間がかかることであり、2,3ヵ月で直ぐにできる話ではない。
クリアしなければならないものには大きなものもあるので、そこはやはり時間をとってスケジュールを出して行きたいと思っている。
〈鈴木密明〉
今の話に関連するが、多くの母親から「なぜ二高だけが先に?」「何でトップバッターなの?」という非常に素朴な質問が出てくる。
やはりこの辺をクリアして行かないと、多くの保護者の理解は得られない、もしくは理解を得ながら云々というのはなかなか難しいのではないかと思う。
この際是非とも、全体スケジュールを明確にしないと、二高の共学化だけが一人歩きをしてしまい、多くの母親からの理解は得られない。
それから予算との兼ね合いだが、中期総合ビジョンが平成13年度にできてから、もう折り返し地点に近いところまできているのに、予算がないということで、他のスケジュールができていないというのはいかにもおかしい。
また、ここでいう「全体スケジュール及び将来像」というのは、共学化についての全体スケジュール及び将来像ではなくて、「県立高校の将来構想の推進」という見地から、例えば、複数の中高一貫教育校を県内に設置する計画がどのくらい進んでいるのかという全体スケジュールを明確にして、「実は、二高はこんな形にしたい」というような提案を県側からしてもらえば、全てとはいわないまでも多くの保護者の納得が得られるのではないか、そうすればもっと実のある話ができるのではないかと思うので、ぜひこの機会を通じて少なくとも他の学校のスケジュールを明確にすることを強くお願いしたい。
〈白石晃〉
「将来構想」があり、それから例えば、前期再編計画、後期再編計画というような継続計画は持っており、その中で具体的な学校名が出てくるということになる。
学校予算の関係では、かなり厳しい枠組みがとられていて、何十億円の中で全部組みなさいということである。具体的には言えないが、何十億円の中で何をどうこなせるかという話になると、前からやってきたいろいろな校舎の改築などもあり、この辺のスケジュール等を組みながら、余地として本当のところはどれだけ使えるのかを全部計算しているところだ。〈安部孝〉女性の方からの発言をお願いしたい、高橋幸子さんから。〈高橋幸子〉私は二高の卒業生と在校生を持つ保護者だ。先程の鈴木会長の話にもあるように、私達保護者は無視されているような、二高だけが勝手に、最初に共学化されていくような印象を持っている。
また、関係者との話合いの中で現在の高校生、在校生の意見がどのように反映されるのか、学校側からはかなり抑え込まれていて、(生徒達は)何も言えない状態のようだ。
私をはじめここにいる人達は子供達の分まで県税を払っている。やはり現場の声、子供達の声、そして保護者の声をきちっと聞いて欲しい。
県教委は、保護者にも説明をしたと何度も言っているが、私が保護者として聞いたのは、前回、昨年だが、たったの10分か15分だった。その時の私の質問に対して、どなたかが「今はもう決定したことだ。二高は18年度には共学になる」ということだった。
その時、私が「まだ決まってませんよね、審議中ですよね」と確認したところ、「まだ決まっておりません。審議中です」と県教委の方がその場ではっきりと仰った。
そして、本会議で附帯意見付きで1年延長になり、今後関係者と話合って行くということであれば、同窓会、保護者、PTAは勿論のこと、在校生の声も聞いて欲しい。
県教委は、ただ単に二高だけを共学化すれば他の学校は何とかなると思っているのかも知れないが、親の気持ちとしては「どうして二高だけなの?やるんだったら一斉にやりなさいよ」ということになる。
ビジョンも何も決まっていないまま、1人の女子が入ってきても共学化だというのであれば、県教委は全く勝手な話をしてるなぁと思う。私達保護者としてはやはりきちんとした説明が欲しい。
先程の話の中で、校名・校歌・校章なども検討に値するとのことだったが、昨年の10分か15分の説明会の時は、この部分のページが抜き取られており、それ以外のところだけを説明していた。やはり親には嘘をつかないで、誠心誠意きちっと説明して欲しい。
〈安部孝〉
現場の立場から、柏葉校長先生に発言をお願いしたい。
〈柏葉浩明〉
多くの部分で重複することがあると思うが、学校としてどのように考えているかについてお話ししたい。
まず、基本的には県立高校である二高は、県教育委員会の行政組織下にあり、県教委の所管する教育機関の一つに位置づけられているという前提で話合い、ないしは検討を進めてきた。
平成13年3月の県立高校将来構想に基づいて、平成22年度までに全て共学化するという1つの方向が示され、資料の9頁にあるように既に何校かの共学化が進められている。
二高については、平成15年度段階で平成18年度を共学化開始年度とするという発表がなされている。その後、請願に対して議会の議決で1年延長するという附帯意見付きの一部採択ということになり、関係者間での十分な話合いをすることになった。
このことを受けて、仙台二高の円滑な共学化の推進方法や共学化後の学校のあり方などについて具体的な検討を行うということで、この会議が設置されたのだと考えている。
従って、我々としては、本校のこれからのさらなる活性化につながる共学化の実現に向けた学校としての考え方や情報を伝えて行きたいと考えている。
それから先程話題になった「中期総合ビジョン」の件だが、平成13年12月に、21世紀の仙台二高の教育はどうあるべきかという趣旨でその検討のために、本校独自の二高ビジョン委員会が発足し、延べ8回の検討を踏まえて、平成15年度末に「中期総合ビジョン」を策定した。
そしてこの中で、県教委から出された「県立高校将来構想」の中に含まれている男女共学の課題についても、共学化するとすればどのような基本的な考え方を持って進めるべきかという議論をしている。
この「中期総合ビジョン」の中では次の4点について確認している。
1.仙台二高の共学化は、単にそれ自体を目的とした共学化ではなく、二高の主体性、よりよい二高を創造するための主体的な取り組みの中で共学化を考える。2.本校のみならず本県の高校教育向上の先導役としての役割を担えるような共学化、具体的には、県下高校全体の進路目標達成の向上や士気の高揚、部活動の充実、全体のステップアップの契機となるような共学化を目指す。
3.柔軟な発想と見解を持った共学化を目指す。
具体的には、男女の割合、女子の運動部の設置等の部分については、形式平等しかし実質無理のある条件設定はせず、二高の教育活動の本当のレベルアップにつながるような弾力的な考え方や方向性をもった共学化を目指す。
4.これまで100年を超える歴史の中で培われてきた旧制二中そして新制二高の歴史、伝統、校風等には最大限の敬意と配慮を払い、価値あるものを継承、発展させるような形での共学化を目指す。
さらに、平成15年7月に本校の平成18年4月からの共学化が発表されたことを受けて、平成16年5月に男女共学準備委員会を校内組織として設置した。
それは上記4項目の方向性をあらためて確認しながら、共学化に伴う様々な問題点を集約し、その解決のための検討作業に入っているというのが現在の状況だ。
これまでに学校全体として確認していることは次の1点に集約できると考えている。
即ち、先程申し上げたように、100年を超える歳月と先人の労苦で培われた男子校としての二中、二高の歴史、伝統、これに対しては最高の敬意と配慮をし、女子の受け入れを実施する中で価値ある校風を継承発展させるということで、基本的には「二高の伝統・歴史・校風といったものの根幹は変えず、変わらず」の姿勢で行きたいということである。
本校の目標である「至誠業に励み、雄大剛健の風を養い、ともに敬愛切磋を怠らず」とは、誠実の限りを尽くして学業に励み、大きくたくましい人間性を養い、ともに敬いつつ、切磋琢磨するというこれまでの伝統の中で培われてきた精神というものは変わることなく、男女を問わず、これからの時代の中においても継承されるべき大切な精神だと解釈している。
簡潔に言い換えれば、共学化は基本的には二高の伝統に変更を加えるものではなく、このような伝統に憧れ、学びたいという女子に対して門戸を開放して行くというのが、二高ビジョン委員会で検討してきた内容であり、18年度と発表された共学化が19年度に延長になっても学校としてのこの考え方は変わらない。
〈安部孝〉
先程の高橋さんの話の中の、現場の子供達やPTA・保護者にどういう説明を具体的にしてきたのか、または今後するつもりかという点にも触れて頂きたい。
〈柏葉浩明〉
県立高校としての本校に対する共学化の方向性が示されたことを大前提にして、二高の発展のためにどのような問題をクリアし、どういったことをモットーにして今後進んで行けばよいかということについて、生徒諸君の意見を十分に聞きたい。
また、基本的には二高の一つの制度的な枠組みとして、県教育委員会から示された共学化の方向についてはこのように進めたいということを生徒諸君や保護者にも伝えるというスタンスで、また、その後の個別の具体的な問題については、19年度に向けてこれからいろいろ詰めて行きたいと考えている。
〈安部孝〉
これから進める内容が大きいようだ。関連して、山下さんどうぞ。
〈山下健二〉
先程教育長から、二高の先行実施の条件として、二高の共学化の問題点はクリアされているが、他の学校では問題があってなかなかスケジュールが出ないとの話があった。
また、柏葉校長からも二高のビジョンがもう既にできていて、それに向けて鋭意準備中だという話があった。この段階でいきなり二高の共学化の是非の話には入りたくないが、たまたま話題に出たので関連質問ということで発言する。
この「中期総合ビジョン」なるものの大部分はどこの学校にも当てはまる美辞麗句が散りばめられた建前論であり、しかもこの中のどの部分を読んでも男女共学をしなければならない内容は何一つない。
むしろ今の別学のままで今後とも努力しなければならなことだけしか書かれていない。
逆に共学化した場合の問題点が3~4つ出ているほどだ。
それから柏葉校長の話の中に、またこのビジョンの中にも書かれていることだが、二高の伝統は変えないとか、そういった資質を有する女性徒を望むとかいうことは不可能だと思う。それはジェンダーフリー論者からガンガンやられることになり、困るのはあなた方だ。
それから、請願に関する附帯意見は県教委と請願書連名連絡会の両方に向けられたものであり、そのメンバーの一人である仙台二高同窓会としても、それを知りかつ議論すべき責任と権利があるので、話を是非そこに戻したい。
一つは、共学化未発表校8校にそれぞれどのような問題があり、共学化の全体スケジュールや各校の将来像がいつ頃発表になるのかについて明確にして欲しい。
それは、附帯意見第1項の文章の意味からも明白なことだが、今後将来構想の着実な推進を図るための大前提となる「条件」になっているからだ。
もう一つは、附帯意見第2項の学力向上と学区制について議会から配慮を求められているが、いつ頃までに、どんな方針で学区制を組み、それを学力向上にどのように結びつけて行くのか、さらに学力向上についていえば、いつまでに、どんな目標で、どういう方策を進めようとしているのか基本的なところを伺いたい。
教育長!今、宮城県の高校生の学力レベルはどのくらいかご存知か?(沈黙の時間あり)調べられたことがないようなので申し上げると、平成12年3月時点、即ち平成11年度には、宮城県の高校生の学力の低さが既に問題になっている。これは多分河北新報の記事だと思うが、次のような見出しに始まる記述がある。
即ち、「学力低迷、宮城県大学進学率全国43位!ここしばらくの状況からは43位が定位置といえる。宮城県は東北大学を初めとして大学数は他県に比べて群を抜いているにもかかわらずである。云々」と書いてある。本県の学力低下は既にその頃から問題になっている。
因みに大手予備校の調査によると、平成15年度、16年度における学力センター試験での宮城県のレベルは、英語・数学Ⅰ・国語Ⅰ&2ではいずれも40位台だ。
我々が以前から一貫して言っているように、仙台二高の問題だけでなく、宮城県の高校教育の将来をどのように考えるのかという視点に立って、学力向上や学区制の問題についてどんな方向でどうしようとしているのかをもっと科学的に具体的な目標を定めて方針を出して欲しい。
附帯意見第3項の問題に入る前に先ずその辺から明確にして頂きたい。
〈安部孝〉
大分大きな問題もあるが、答えられる部分について教育長どうぞ。
〈白石晃〉
共学化のスケジュールは先程申し上げたとおりいろいろクリアすべき課題が各学校毎にある。
〈山下健二〉
それはどんなことか?
〈白石晃〉
それは今の段階では申し上げられない。
〈山下健二〉
いつ言えるのか?
〈白石晃〉
今、作業中なので結果がかたまり次第発表したい。
学力低下と学区制の問題だが、今年の3月に義務教育を含めて学力向上プログラムというものを策定した。そこでは例えば、全国の中位までは上げたいとかの一応の目標を上げて、そのための家庭での時間をどうするのかとか、もう少し具体的なところにまで入り込んだプログラムを作っている。
その際には、宮城県の高校生がなぜ学力が低下しているのかという分析もある程度行っている。もう少し具体的にいうと、東北6県で比較した場合、宮城県の高校1年生の学力は大体2番目か3番目だが、高校3年生になると東北の中で一番ビリになっている。
そうすると、問題としては高校1年の時に、授業の面で何か手を入れるべきことがあるのかなといったことなども含め分析した上で、今、プログラムを出している。
これは今年度から一応始まっているが、学力向上についてはいわれるまでもなくかなりの危機感を持っているので最重点で取り上げている。学力問題とともに就職内定率も悪く、これも40番台になっており、高校教育の関係では、そこの部分でも重点的に施策を打って行きたいと考えている。
それから学区制についてだが、この前の県議会で「学区の見直し」ということで請願採択されたので、いずれ検討しなければならない。
その手続きとしては、基本的には入学者選抜審議会にかけ、そこで議論をしてもらうことになる。
現在、門戸開放ということで、3%の枠内であれば、県内のどこからでも志願できることになっているが、この3%枠を消化していない学校もある。仙台市内のナンバースクールでは全部この3%枠を超過しているので、この場合は逆に3%でよいのかという議論もある。
いずれ現行の学区制に準ずるような施策について、それがよいかどうかを審議会で議論してもらうが、その結果については、おそらく仙台地区と郡部地区との考え方が違うのではないかと感じている。そこでいろいろな地区で校長会を開いて考え方をまとめて行く必要がある。
他県の例を見ると、かなりの議論を2年間くらいやって、その後3年くらいの周知期間をおくというようにかなり長いスパンでやっているところもある。県教委としては、いろんなデータを集めながら学区制に対する考え方をまとめつつあるという段階だ。
〈山下健二〉
抽象的、総論的な話としては分かるが、まず第1項の全体スケジュールがいつ頃発表になるのか、それから学力向上については何年後に何番目位を目標にするのか、そしてどんな方法、方策を講ずるのか等について次回の会議には示して欲しい。
〈白石晃〉
学力向上については、プログラムということで冊子を作っている。その中では目標値やいくつかの施策もあげているので、それを見てもらえばはっきり分かるだろうと思う。ただ、その計画期間は一応10年間にしている。
〈山下健二〉
何年からの10年後か?
〈白石晃〉
今年からだ。
〈山下健二〉
平成27年度にどこまでの到達目標になるのか?
〈白石晃〉
全国平均並み、順位からいうと20番台の後半ぐらいだ。
〈安部孝〉
あまりこういった議論をしてもしょうがないかなと思う。
〈山下健二〉
その10年間に他の県もどんどん努力しているわけだから、10年後に24,5位というわけには多分いかないと思う。そういう観点ではなくて、例えば、平均の点数目標とかもっと違う視点で考えるべきだ。
現在の宮城県の高校生の科目別平均点を何年後には何点上げるのか、ということでないと計画にはならない。そのためには現状の何が悪いのか、各学校別の問題点を学校と一緒になって分析しながら、具体的な改善策を打って行かないと、そのうちに宮城県の民度はどんどん落ちて行くと思う。
一番困るのは、宮城県のレベルが低いままだと、宮城県の高校生が「どうせ、俺たちの県はダメなんだ」ということになってしまい、若者にやる気がなくなり、就職率も悪くなる。
日本であるいは世界で飛躍し、活躍しようとする人材や意欲を持つ人々も少なくなる。
国づくり、県づくりの基本である教育のレベルが上がらないということは、県全体がどんどん凋落して行くことにつながる。
話は戻るが、年度別、科目別の平均点目標を立て、そのためのカリキュラムをどう組み直すのか、どんな授業をするのか、どんな教師を配置するのかなど具体的な施策を打たないと、いつまで経っても問題は解決しない。
〈安部孝〉
これは問題提起と受け止めたい。この問題は次回にでも論議して欲しい。残り時間があと20分ほどあるので、折角の機会なのでまだ発言していない方に発言をお願いしたい。
〈柴田克彦〉
今の山下さんの発言の趣旨は、学力向上問題は現在の宮城県の高校教育界でいかに急務であるかということを言っているのだと思う。
このような重要な問題をかかえていながら、ビジョンも将来像も全然示すことができない状態で、二高だけを18年度に共学化する、あとは22年度までに全部やりますよなどと言っている暇がありますか、学力向上だけでもこれだけの問題があるではないかという指摘だと思う。
それから、二高の中期総合ビジョンは男女共学のためのビジョンとはいえない。私はこれを2年前に、“10年先のものだよ…”といわれて見せてもらったことがある。
その時私は、「10年先の話って素晴らしいね」と言ったが、これがまさか男女共学のためのビジョンだとは想像もできなかった。そして、“あれっ、女の子のことが書いてあるけどこれは何なの?”と聞いたら、それを提示してくれた先生は“これは例えばの話です”と言ったので、“そういえばグラウンドも一つ必要だね、そうすると2~3億円ぐらいはかかるね、県が2~3億円も出す気があるのかなぁ”というような話をしたのを今も覚えている。
今回のこの第1回目の会議が開催されるための請願について、県議会では一部採択、一部却下のような格好になったが、これは県議会の先生方の本当に苦渋の決断だったと私は思っている。
教育問題を宮城県の政治の中でイエス・ノーで二分したくない、大多数の県議の先生方の賛同を得るためにも何とか県教委と関係者間で十分な話合いをさせたい、というのが大方の県議の先生方の本意だったと思う。
だからこそ我々は、条件付きながらも採択された事実をきちんと認め合い、県教委と我々関係者がそのような共通認識に立って、今後このような話合いを続けて行かなければならないと思っている。
「県立高校将来構想」にも、共学に当たっては十分に話合うこと、はじめから「共学にしますよ」という話ではなくて、共学をするに当たっての話合いをした上で共学に移りなさいということがはっきり書いてある。
平成11年から13年頃に出されたどの資料を見ても、共学については理解と納得を得るように十分に話合いなさいと書いてある。
今回とにかく1年という期間を与えるから、県教委と関係者は十分に話合いなさいよというのが今回の議会の先生方の結論だと私は思っている。
附帯意見の1、2,3項のいずれについても問題点がある。これらは共学化を認めたというのではなく、「県立高校の共学化は全体スケジュール及び将来像を明確に示し、推進されたい」と第1項にも書いてある。それなのに何も明確になっておらず、県教委は「今、一所懸命やっている、問題点のクリアができ次第明確にする」と言う。
二高の問題も決してクリアなどされてはいない。クリアしたと思っているのは当時の校長、前教育次長そして教育長だけだ。今年辞めた二高の校長は十分に承知していなかった。
附帯意見には県立高校将来構想の推進に当たっては、次の3点に配慮しなさいよと書いてある。その中で一番大切なのは、男女共学、全部男女共学にするのだが、その場合にも十分な話合いと理解を大事にしなさいよということだ。
それらのことはみな生きているのだから、兎に角お互いにそのような気持ちでやって行くのがよいと思う。
白石教育長が大変つらい立場にあることも分かる。次のような中国の古い諺がある。
「10年先のことを思うならば木を植えなさい。50年、100年先のことを思うなら人を植えなさい」。
教育というものは、今、何かをしたら来年、再来年に結果が出てくるというものではなく、50年、100年先に結果が出てくるものだ。今、「世の中が悪い、悪い」といわれているが、これは戦後教育のツケが今、回ってきたのだと私は思っている。
県議会の大多数の先生方の苦渋の決断によって、1年の猶予をもらったのだから、まず1年かけてじっくり話合い、そしてできることなら一緒にやろうという線が何か見つかることを期待したい。
〈安部孝〉
残り時間も少なくなった。松枝さんと大庭さんの発言をもって、第1回目の会議を終了したい。
〈松枝恵子〉
3人の子供を持つ母親の意見として聞いて欲しい。
仙台二高の良さについて皆さんはどれだけご存知か分からないけれど、これは今や立派な宮城県の文化になっている。それはただ105年経ったからという問題ではなくて、一高あっての二高、二高あっての一高、一女高あっての二女高、二女高あっての一女高というようにもう既に1つの文化になっている。
先日の一・二高の野球定期戦を見れば分かるが、何千人という人々が観戦していて、しかも地響きするのではないかと思うほどの雄叫びがあった。あそこに黄色い女の子の声が入っていたら、それはもう二高ではなくなる。
一女高という素晴らしい女子高も広瀬川を挟んで澱橋さえ渡れば直ぐそこにある。近くの進学校としては二高だけしかなく、他の進学校に行くにはバスや地下鉄を乗り継がなければならないというのであればそれは問題だと思う。
県職員の仕事は、県民の豊かな生活や幸せを守るためにあるのではないのか、根本に立ち返ってよく考えて欲しい。
県教委の皆さんは、今、何か問題があってそれを是正するために共学化をして何を良くしようとしているのか、今、誇りを持って学んでいる子供達をみんな一緒にしてしまうのではなく、価値観の多様化している今の時代なのだから別学の良さを胸を張って訴える宮城県であって欲しい。共学校に行きたい子供には立派な共学校があるではないか。別学校への進学を望む子供達は、高いお金を払って私学に行くしか道はなくなるのか、これが母親としての素朴な感情だ。
〈安部孝〉
大庭さん、どうぞ。
〈大庭文美〉
私は他県から来て、公立高校で男女別学校があるということを初めて知り、珍しいなぁと思うと同時になかなか面白いなぁと実感している。
20~30年前からの共学というのであれば、それも時代の流れとして仕方がないのかなぁとも思う。
しかし、私が一番疑問を感じるのは、共学化は既に決まっていることなので、そういう話の余地はないといわれていることだ。どうして今の時代に共学化という方向に向いてしまうのか私の頭の中ではどうしても理解できない。
先程、少ない予算の中で、ある程度ベストな状態で共学化をしたいというような話があったと思うが、学力向上面でもそれなりの予算が必要になってくると思う。
限られた予算の中で、それらをどのようにうまくやっていけるのかなと聞けば聞くほど疑問が出くる。
〈安部孝〉
まだまだ議論の尽くせないところもあると思うが、それぞれに持ち帰るべき宿題が出たと思う。また時期を見定めながら、お互いの事務的折衝を通して第2回目の会議では、明解な共通の話題についての話合いを深めていって欲しい。
予定時間が来たので、第1回の調整会議はこれで終了したい。
《6頁の注》
「2回目の話合い」の意味は次の通りである。
「1回目の話合い」は、平成17年1月19日(水)に行われた「県教委と共学化凍結請願書連名連絡会との間の話合い」を指す。
「2回目の話合い」は、去る5月30日(月)に実施された「第1回(仮称)仙台二高共学化調整会議」を指す。
以上